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★ことば236「写生」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.236 2008.6.1
「写生」

プリントゴッコが生産を終了するそうだ。年に一度、押入れから出しては根気よくイラストと配色を考えて、電球を買い忘れたのに気付いて近所の文房具屋に走り、そして必ず一度は失敗し、何とか型を完成させて、そして一枚一枚版画をし、乾かすために広げた葉書が部屋を占拠して…
あぁ、懐かしい。思えば五年くらい前からか、パソコンにとって代わって、プリントゴッコは我が家の年末(年頭?)行事から姿を消した。今どこにあるかも分からない。
プリントゴッコは当時小学生だった筆者に印刷のメカニズムを全て教えてくれた。あの手間は、必要な手間だった。今やれと言われれば億劫に感じるかもしれないが、当時は楽しかったし、必要な時間だったのだ。決して無駄ではなかった。
簡略化、効率化は、始めの手間暇かけている時間を知っているからこそ有意義なのであって、最初から簡略化されたものしか知らないことは不幸だと思う。倣うことなしに基礎は出来ない。

(399文字)
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子曰く… [雑記]

石原シンタロウ大先生曰く、
「築地市場に反対しているのはマイノリティだから無視してよい」と。

一方、石原大先生曰く、
「世論を気にしていたら政治はできない。新銀行に反対しているのは素人だから無視してよい」と。

また、大先生曰く、
「歌舞伎町や池袋のようなキタナイ町は浄化する」と。

さらに、慎ちゃん曰く、
「お台場にカジノを」「三宅島の公道でバイクレースを」と。

はたまたマバタキ君曰く、
「作家としては東京を芸術の最先端にしたい。ヘブンアーティストやトーキョーワンダーサイトを…」と。

ところが極右君曰く、
「フランス語は数の勘定もできない下等言語。都立の大学に文学部は無駄」と。







1200万都民、コップの中の嵐に付き合わされること12年。はて、明日の空模様は。気象予報士の次男に聞いてみるか。
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★ことば235「経験値」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.235 2008.5.31
「経験値」

最初にこの言葉を考えた人に敬意を表したい。なるほど、経験の値か。ゲームの世界の話ではあるが、強い敵と戦って、倒せば倒した数だけ自分のポイントになる。そして、能力レベルが上がっていく。何といっても、お金や筋力と違って、減らないという所が経験値の持つ特性だ。
人も皆経験値を持っているとするならば、という尺度で考えてみる。敬老思想もそうだし、同じ年齢でも薄っぺらい人間と人生経験が豊富な人間とは歴然とした差が出るし、それほど不相応な尺度でないようだ。
ポイントカードを溜める感覚で、最近の人は高級料理を楽しんだりダイエットに勤しんだり英会話を習ったりしている。これも「経験値」に似ているのだが、決定的に異なる点は、彼らが損得勘定を中軸にしていることだ。損など本当はない。どんな経験も自分のためになる。失敗から学ぶこともできるし、苦行によって真の楽しみを理解できるのだ。
「無駄だ」「意味ない」を禁句にしよう。

(399文字)
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★ことば234「夜空」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.234 2008.5.30
「夜空」

この広い世界の、とりわけ日本とその周辺の時差の違わない国々で、どれほどの人が今、夜空を見上げているのだろう。あの空の隙き間を見ているだろう。
帰りの電車で、うとうとしながら窓の外を眺めた。地下かと思ったら、灯りが見つかり、そこに夜の闇があることに気付いた。しばらく、することを忘れていた。何をしていたわけではないが、何かをすることを忘れていた。ガラスの向こうの闇に沈む、ため息。
幼い人の絵は一本線の輪郭で溢れている。見たままを書いているはずなのに、記号処理された図形を右手がなぞっている。いつからだろう。言葉を覚えてからか。落とした涙が乾いて染みになった。
トンネルを抜ける。いつもの赤い看板。切れかけた電球がチカチカと自己主張。やがて消えてしまう。不思議だ。消えて初めて認識される個体。確かにあれは、そこで輝いていた。でも、知らなかった。見えていなかった。
月明かりが照らすから。あとは何もいらなかった。

(400文字)
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★ことば233「ダメ押し」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.233 2008.5.29
「ダメ押し」

したくなる気持ちも分かるが、何でもやりすぎは良くない。そこで止めておけばよかったのに、ダメ押しをすることで、異なる結果になってしまうことがある。
勝敗を決めるという目的のための、手段としての暴力なら、目的が達成された時点で冷静に攻撃を止めなければならない。いつまでも快楽を求めて、感情の赴くままに攻撃を続けてしまうと、目的を見失って自制が効かなくなるし、負けた側に禍根を残す。それが相手の原動力を高めてしまうことにもなりかねない。
スポーツや戦争に限らず、職場コミュニケーションでも同じだ。キレる上司の悪いのは、感情的になることだ。部下を叱責するという目的が達成された時点で手段としての怒声はセーブしないと、やりすぎて反感を招いてしまう。それは自分自身にとって信頼低下というダメージになるし、感情だけ相手に残す結果となってしまい、怒った理由が伝わらない。
つまり、演技するということだ。品格も所詮は演技。

(399文字)
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★ことば232「生真面目」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.232 2008.5.28
「生真面目」

思いつめた人に対してはその人のいなくなった後でよく「あの人は真面目すぎたのだ」と言われる。自殺した人間に同情しても詮無いが、しかしこれでは死んでも死にきれないだろうと哀れに思う。言われたところでどうすることもできない他者からの評価ほど辛いものはない。「真面目すぎる」人であれば尚のことそうだ。なぜ、何でも人は思ったことを口にしたがるのだろう。
切り替えができないとか、肩の力を抜けとか。言葉で言ってどうにかなるならそれ以前に本人が自己暗示してるわい、という…。
多分、気を逸らすくらいピンボケな道化師がいたら良かったのではないかと思う。特に思いつめる時は視野狭窄になりやすい。後で色んな人の笑顔や温かい言葉を思い出して冷静さを取り戻すのだが、内に内に考え詰めると、それらを見失ってしまうのだ。
そんな時こそ、外野の野次。「外野」であることが大事なのだ。身内とか近しい人でなく、決して負担にならない形で。

(398文字)
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【再掲載】ことば062「イキる」 [雑記]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.062 2007.12.10
「イキる」

関東の人には通じないかもしれない。調子に乗ったり、ダサいのに格好つけてる人のことを、関西では「あいつイキりだよな」とか「イキるなよ」と言う。
思うに、生きるとは往々にしてイキることではないか。遠慮して、気ばっかり遣って、互いの顔色ばかり伺って…そんな中、たった一人自己中なヤツがいたとする。でも、案外そいつがおいしい所を持っていく。
KY、KYと言うが、結構皆空気を読んでいるのだ。読みすぎて、内向的になったり、敢えて馬鹿を演じたり、「モンスター云々」になってゴネ得したり。
中学生が読売に投稿していた。「皆が掃除をしていたら、サボるヤツがKY。でも、皆がサボっていたら、一人真面目にやってるヤツはKY」。そうそう。そうなんだよ。いじめの構造もそこにある。
空気とは読むものではない。作っていくものだ。読むのは当たり前。読んで、どう変えていくか、だよ。こういう時に、明るいイキりがイニシアチブを握るのだ。

(398文字)

http://blog.so-net.ne.jp/metro/2007-12-10
の再掲載
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★ことば231「死ね 2」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.231 2008.5.27
「死ね 2」

ヒラリーもアホなら、日本の中高生もアホだ。皆想像力がない。
例えばいじめ⇔いじめられの構造において、相手の死を望むことはあっても、本当に心の底から死んでほしいと思い、それを口に出すことは、自分にとってプラスだろうか。
死ぬということはその段階で何もかもがフリーズするということを意味する。例えば5歳で交通事故死した子の遺影は一生5歳児の微笑みのままだ。これ以上、我が子が成長することはない。想像はできても、実際にアルバムのページは増えない。
もし怨みあったまま片方が死んだとしたら、両者の関係性は一生その状態のままだ。夢の中で仲直りはできないのだ。
そして、いじめっ子は一生「お前が殺したのだ」と周囲に言われ続け、嫌な思い出を引きずり続ける。ただいじめただけならそのうち忘れるが、自殺した相手は忘れるに忘れられない。
そういう損得勘定で考えて、いじめが実に自分のためにならない行為だということを分かってほしい。

(400文字)
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★ことば230「死ね」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.230 2008.5.26
「死ね」

要するに、アメリカの大統領候補も日本の中高生も同じ次元ということだ。みんな死ねばいいのに、と思っているのだ。
自己正当化。「共通の敵」を用意することで、団結力を高める。それは常套手段だが、正義が勝たねば平和にならぬと扇り、その正義を邪魔する者はどんな手段を使ってでも排除すべきなのだ、それが正しいのだ、という論理になる。
本当にそうか。真の政治を考える者なら、対立候補の支持者も含めた全国民が平和になることを望むだろうし、そのための手段を考えるだろう。要するにヒラリーの本音は、大統領になりたいだけなのだ。なって何をする、とかはどうでもいい、ただの自己満足だと言える。
さて、お望みどおり敵が死んだらどうなるか。本当に平和が訪れるか。仮にヒラリーが当選しても「もしオバマだったら」と言われ続けるだろう。「仕方なく、ヒラリー」というレッテルを貼られる。なんという想像力の欠如。愚かな元ファーストレディーだ。

(399文字)
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★ことば229「著作権」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.229 2008.5.25
「著作権」

昨今、著作権に関する目が厳しくなったため、入試の国語の過去問題集に本文を掲載できなかったり、高校などの文化祭で演劇の上演が出来なくなったりという事態が起きている。
全くもって、その「著作権」とやら権利を主張する連中の言い分が理解できない。誰が得するということもなく、学生が芸術作品に触れたり教養を高めたりする機会を奪うだけで、無意味な権利としか思えない。
例えば演劇に関してつくケチは、時間短縮や意訳などでオリジナルが改変されるからケシカラン、ということだそうだ。何を偉そうに。注目してもらっただけありがたいと思えないのか。「素人のパクり」に映るのかもしれないが、芸術とは模倣から始まることは自分達も分かっているはずだろう。
学割じゃないが、仮に著作権料を払うとしても学生・学問・入試の用途に限り九割引にするとか、法の緩和は出来ないのか。学生の知的好奇心を妨害するような作家はみんな絶筆してしまえばいい。

(399文字)
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★ことば228「記事」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.228 2008.5.24
「記事」

NIE(教育に新聞を)の見地から述べるならば、記事とは生地である。つまり、学ぶ上での土台、下地なのだ。そこから何をテーマに引っ張り出し、いかにして考察するか。また、他の記事=生地との相関性も導き出せる。
しかし多くのニュースサイトやブログを読んでいて思うのは、この国の「市民評論家」たちは実にプレーンな味を好む傾向があるということだ。「記事によると…」それは良い。忠実な引用は大前提。しかし、そこで終わってしまっているのだ。せいぜいが「ひどいですね」「あいつムカつく」の一言言いっぱなし感想で、何の価値もない。学習成果もなく、ただただ暇つぶしの評論を娯楽として楽しんでいるのだ。
なぜ彼らのピザ生地に何も乗らないのか。トッピングという教養がないからだし、問題意識のソースもないからだ。街を歩きながら哲学的命題を考えて電柱にぶつかる経験をしていないし、議論とケンカの違いも知らないのだ。
さて、どう教えるか。

(400文字)
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★ことば227「ジョーバ」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.227 2008.5.23
「ジョーバ」

初めて見た時、思わず噴き出してしまった。乗馬型フィットネスマシンって…何もそこまでしなくても。だったら馬に乗ればいいじゃん。
何も馬乗りは皆おなかまわりのぜい肉を気にして馬に乗っているわけではない。たまたまそういう科学的見地から見てダイエット効果があるというデータが出ただけのことで、本来の目的ではない。
また、最近はペットの「癒し効果」が謳われ、動物セラピーなどという分野まで開拓されている。挙げ句、動物型ロボットや動物飼育ゲームまで販売されている。これには失笑を禁じえない。何でも「効果」「効用」という物差しで損得を勘定する、現代人。一時の「気の迷い」であってほしいが、これが普遍的価値観に成熟(…ではないか)して行った日には、人間とは何と愚かな点取り虫だということにならないか。
「田舎に行ってマイナスイオンを浴びて、ポイント1点」…で、どうするの?溜まったポイントでいいお墓が買えるのかな。

(396文字)
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★ことば226「職場いじめ」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.226 2008.5.22
「職場いじめ」

あくまで極論だが、いじめには一つの教育的効果があり、全てが全て否定されるべきものではないと思う。相手に嫌悪感を抱いたり、親しみやすい者同士で仲間を作っていくことは、人間の本能に基づく行動である。それを博愛主義的に「全員仲良くしましょう」と上から潰していくことは、かえっていじめの陰湿化を招くだけだ。
ケンカしたければケンカすればいいし、いじめられたら被害者を主張する前になぜいじめられたのかを考えることは自分にとってもプラスであるし、いじめる側が最終的に自己の行為の低俗さに気付けばそれはそれでプラスだ。学校は安定経営の場であってはならない。
妙な人権意識が蔓延している。勿論、命に関わる事態、自殺とか犯罪性の高い加害行為には善処すべきだが、予防線を張りすぎているように思う。それか、逆に先生が何も手を打たず放置しているか。
だからガキのままの人間が増えて、「職場いじめ」など不毛な事をしているのだ。

(397文字)
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★ことば225「バラつき」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.225 2008.5.21
「バラつき」

なぜ、量刑にバラつきがあってはいけないのだろう。地域性や裁判官の個性などで結果が異なるということは無論可能な限り避けなければならない。しかし、そもそも世の中に二つとして同じ事件など存在しないにもかかわらず、量刑に関する大枠が既に決まっていて、そこに外れないように無理やり個別の事件を押し込んでいくというのは一般感覚としてやはり違和感を覚える。
どんな分野でも、枠というのはあるが、絶えず時代に即して変化していくものだろう。前例がないからといって、前例のない事件を無理やり前例のどこかにカテゴライズしてしまって、結果的に後々考えれば不当判決…なんてことがあり得る。
だから、裁判員制度で…と、全てはその道に通じるような世論喚起になっていることは見極めなければならない。もちろんうまく行くことが望まれているが、仮に失敗したとしても、それが口実で従来のやり方に戻るだけだろう。この法曹界の妙な一体感は何だ。

(398文字)
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正論は? [主張-時事]

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080520k0000m010129000c.html

【次の文章を読み、後の問いに答えなさい】
02年に神奈川県横須賀市で米兵によるオーストラリア人女性への暴行事件が発生

問1 主語を「米兵」に置き換えた上で全文を書き直しなさい

問2 被害者を全て抜き出しなさい

問3 加害者を全て抜き出しなさい

問4 この事件を解決するためには、どうすれば良いか?誰が、何をする、という形式になるように述べよ(50字程度)

問5 問4でそう考えた理由を述べよ





解答はこちら


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★ことば224「禁止」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.224 2008.5.20
「禁止」

携帯電話を小中学生に持たせることを禁止しよう、という議論が活発化している。何を今さら、と噴飯モノだが、理屈としては一理ある。ある評論家は携帯電話を包丁に例えていたが、使い方を知らない親が知らない子に好き勝手振り回させているのが現状というのは正鵠を射ている。
しかし実際は、取り上げるなど不可能だ。核兵器もケータイも、一度手に入れてしまった以上、それを上回る道具によってしか凌駕できない。
「これから」を今は考えるべきだ。
例えるなら女性の化粧。低年齢化しているが、勿体無いとつくづく思う。素っぴんという特権を手放しているのだから。荒れると分かって塗りたくる状態に進んでなることはないだろう、と。ゲームもそう。なければ、「ない状態」を楽しむことができるが、一度手に入れてしまうと、二度とその時点には戻れない。
人間、自制は難しい。そして、素顔の尊さ。その二点を徹底して教え込むことだ。使い方など二の次だ。

(397文字)
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★ことば223「キモい」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.223 2008.5.19
「キモい」

下手すれば一分間に五回はキモいと言っている小中高生。一昔前の「ムカつく」若者達と根本は同じだ。道からそれたものを全てその一言で括り、二極対立の構造を作り出す。共通の敵を作ると仲間の団結力が高まるということだ。それに依存しないと形成できない人間関係ということなのだが。
一つ違う点があるとすれば、やはり「ムカつく」という自己表現から「キモい」という客観的評価・評論の表現への変遷だ。これは単に流行語が新しくなったということ以上に、彼らの敵とされる対象者の変化もある。
ムカつく時代は、まだムカつくような対象者がいて、そこに暗黙の上下関係があった。見えざる権力、理不尽な大人に対してムカつく自分自身があったのだ。しかし今は違う。無表情に発せられた「キモい」の三文字で軽く受け流されている。むしろ、キモくならないようにと権力の側が気を遣っている程だ。
サラリーマン川柳の自虐もそうだ。それが尚更キモいのに。

(397文字)
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★ことば222「こき下ろし」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.222 2008.5.18
「こき下ろし」

よく、友人間で、もしくは男女間で、相手を馬鹿にしたりしょっちゅう「こいつはとんでもないやつで」などと悪態をついてこき下ろしていることがある。ではそれは本当にその言葉通り仲が悪いのかというとそうではなく、むしろ真逆で、ある程度の信頼関係が構築されているからこそなせる業なのだ。
当たり前のことだが、そこのところを見誤ると恐ろしい結果が待っている。
その会話に信頼関係のない人間が入り込んで同じような振る舞いをしようものなら、一気に場が白ける。また、「ある程度の信頼関係」である以上、その範囲を超えるような暴言は知らず知らずのうちに信頼関係を揺らがせる。
これは逆の場合も言える。言葉の暴力は立証が難しい。「そういうつもりで言ったのではない」とか。或いはまたまた逆で、普通に言ったつもりでも「私は侮辱と受け取った」とか。同じ発言でも○○さんが言ったらOKだけど××さんが言ったらキモいとか。
あーあ、めんどい。

(399文字)
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★ことば221「感情」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.221 2008.5.17
「感情」

あれだけ連日騒いでいたのは何だったのか。中国をめぐる問題である。確か発端は五輪を前にした大気汚染とマナーの問題だった。それから冷凍餃子があって、チベットの問題があって、元々内在していた「反日への反発」や尖閣諸島の問題も後押しして、日本のマスコミの中国バッシングは最高潮に達していた。聖火リレーが前例のないほど注目を浴びて、長野県のささやかなイベントも悪い意味での盛り上がりを見せる結果となった。
しかし、今それを言う人はきっと「KY」と言われるだろう。調子の良いマスコミの今のトレンドは「かわいそう、四川」だ。大地震が情勢を変えた。ある作家に言わせると、大きな悲劇は小さな悲劇を飲み込むということだそうだ。餃子も領土も解決していないわが国は、それはそれ、と棚上げしてポンと五億円を支払った。
拘泥は良くない。しかし、感情に流されて、本質を見失ってないか。
白黒はっきりしないこと、パンダの如し。

(394文字)
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★ことば220「義捐」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.220 2008.5.16
「義捐」

「ぎえんきん」と打ったら見慣れた「義援金」ではなく「義捐金」という字が出てきた。この「捐」という字、「捨てる」という意味がある。「私財を割いて納める」とか、捨て子にもこの字を使い、どちらかというとネガティブな意味合いがあるのだ。
多分、そうした背景が忌み嫌われて、「義援金」と書くようになったのだろう。でも、「義捐」の方が相応しいように思う。というのは、助ける、助けられるということに関して我々があまりにも安易に考えているように思えるからだ。
人助けは高尚なことだしすべきことだ。しかし、それは自分自身の生を全うできた上で余裕のある人間がすべきことだ。人を助けて我が身を滅ぼしてしまったら、それは自分だけでなく、その助けた相手にまで必要以上の心配と迷惑をかけることになる。
また、安易に人を頼って有り難味を忘れたり弱体化してしまう危険性もある。
助けることの重みを意識するためにも、「捐」の字を残すべきだ。

(399文字)
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