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★ことば256「拳骨」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.256 2008.6.21
「拳骨」

げんこつという言葉は知っていたが、もう二十年近くも記憶の外にあった。今改めて「げんこつ」と打って「拳骨」という漢字に変換されて、その言葉の意味を知った。げんこつよりもとんこつの方が最近はお世話になっている。
…と冗談の一つも言いたくなるほど、宮崎県知事の発言には拍子抜けしてしまう。この「げんこつ」という言葉に「条例」を付け足すと、何ともミスマッチな雰囲気だ。横領する官僚と仕事をしない大阪府職員に適用する条例なのかと思ったが、違うらしい。要は、モンスターペアレント対策で教師の仕事をしやすくするという、言ってしまえば思い付きの朝令暮改政治だ。こんなもの、目くじらを立てる価値もないし、といって賛成している人間にも底の浅さを見出す。
目的の喪失だ。そして、手段が目的化されている。教育現場に「管理」という言葉は馴染まないし、「成果」を追求する親は親ではなくただのトバク師だ。これ以上、言うべきことはない。

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★ことば255「イカ」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.255 2008.6.20
「イカ」

日本のイカ漁が窮地に立たされている。燃料高騰で、漁師は海に出れば出るほど赤字になる計算だ。といって、イカは高級魚とは違うから、見合った値段にしようとしても、「高くなるなら、じゃあいらない」と売れなくなる。結局、高級志向といっても全てが全て高級になるわけではない。最高級のものだけが異常なまでにつり上がり、その他はむしろ「高級ではないもの」として、とことん安さだけ追及される。
イカが食べられなくなったらどうするか…率直に言うと、どうでもいい。食べられなくなったらなったで、他に食べるものはある。問題は、イカ漁を生業としている人たちの今後や、伝統のイカ料理をどう継承していくかということになる。
仕事を与えないと、というのは無駄な公共事業と同じで、ナンセンスだ。といって、無碍にはできない。イカの新しい価値を創造していくとか、イカ漁体験ツアーを組むとか、いずれにせよ現状を変えていくことが必要だ。

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★ことば254「エセ」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.254 2008.6.19
「エセ」

エコに関心を持つのはいいが、何でもかんでもエコに結びつける風潮はいかがなものかと思う。「車に乗ったつもりで、バーチャル地図を見て旅行してCO2削減」とか、「ボールペンを最後まで使ったから地球にやさしい」とか。こじつけもいいところだ。
そして、それ以上に気になるのは、「エコ」という物差しで何でも計ろうとする単細胞人だ。「職場の冷房は28度に」と何が何でもその基準を絶対視し、かたくなに守ろうとする。暑いのに暑さを我慢しながら28度を守るなど、何の意味もない。
そもそもオフィスビルは冷房なしには乗り切れないような建築になってしまっているのだし、まして近年はパソコンが大量に導入されたために、機械の発熱が激しい。そして、地球温暖化が進行している。
それを食い止めるのは大事だが、我慢しながら食い止めずとも、他の分野で削減すべきを削減すればいい。やせ我慢のエセエコはかえって能率低下を招くのではないか。

(396文字)
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★ことば253「つとに」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.253 2008.6.18
「つとに」

「つとに最近は…」という文章表現は間違っている。「つとに」とは「以前から」という意味であって、「特に」という意味ではない。その場合は「ことに(殊に)」を使うか、「特に」を使えば良いのではないか。「つとに」という表現自体使う機会はあまりないが、他には枕草子の「冬はつとめて」と同義の「早い」という意味もある。
ところで、「つとに」は漢字で書くと「夙に」となる。なぜ「夙」という字なんだろう。この字は会意文字で、「月」と「両手で働く」を合わせたものだ。月の出る夜も急いで夜なべをすることをこの字にしたのだ。
だから、「つと」。以前から、急いだ。そこまでなら良い。問題は、この字が「しゅく」として、近世の賤民を指す言葉だったということだ。なぜ、「早い」や「以前から」が夙の者などと賤民として使われたのか。
守宮で「しゅく」を、違う字に当てたのか。賤民にも評価すべき点がある、とその字にか。否、考えすぎか。

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★ことば252「意味」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.252 2008.6.17
「意味」

最近、原稿を書いていて思う。こんなことを書いて、一体何の意味があるのだろう、と。
何のためになるのだろう、という本質的な問い直しではなく、「意味」を求めてしまっていることに、未熟さが露呈している。自己分析するに、これはいよいよ内なるエネルギーの枯渇が深刻化しているのだと見える。このコラムを書き始める時に自分への目標として打ち立てた「アウトプットできるために、インプットを増やす」ということが実行できていないのだ。
ただし、「よそはよそ、うちはうち」という声が聞こえてきそうだが、敢えて時代に問うならば、最近は他人の話を聞けない輩が増えすぎた。所詮は自分が好きか嫌いか、であって、他人と一体化して他人の意見を噛み砕こうという姿勢が一切見られない。そこから連想させて我田引水しているだけなのだ。
だから、いくら大層な説教をしようとも、理解できる人にしか理解されないのだ。本当は理解できない人にこそ必要なのに。

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★ことば251「ダガー」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.251 2008.6.16
「ダガー」

何でも流行るものだ。エアガン、バタフライナイフ、クレゾール、砒素、硫化水素、そしてダガーナイフ。
こんなものが使われることがおかしい。そして、なぜ売られているのか。趣味の域を超えているし、害悪にしかならない道具はクラスター爆弾と同様、世の中から駆逐すべきだ。
ダガーとはそもそも、短剣のことをいう。歴史は古く、古代ローマ帝国時代から存在していたそうだ。相手を地面に倒してから致命傷を与えるために使われた武器。ナイフと決定的に異なるのは、ダガーは完全に対人用武器として用いられているということだ。他の用途には使えない。だからこそ、この国には必要ないと断言できるのだ。
とはいえ、道具は出来てしまった以上、それを上回る道具によってしか凌駕できない。とすれば、有効に活用できる方法を考えるのも手だ。例えば…ろくに歴史背景も学ばないで凄惨な戦闘シーンばかりフィーチャリングしているゲームを破壊するのに使う、とか。

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★ことば250「マジックアワー」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.250 2008.6.15
「マジックアワー」

ようやく三谷幸喜のメディア露出が落ち着いてきた。昨年、トータル五十名以上の人間に「三谷監督に似てますね」と言われた筆者としては、どうもそれ以来他人に思えない。彼が出まくることに辟易しつつも、本当は心の中で妙な親近感と期待感を持っていた。
マジックアワーとは、彼が何度も説明していたので敢えてここで解説するまでもないが、要は夕陽が沈む頃の場面で、この世で一番美しい画が撮れる瞬間のことである。どんな作り物でも、元素材は自然に拠るところが大きい。それはやはり、人の手で制御できるものではなく、自然界の「マジック」なのだ。
或いは、人の表情も一瞬一瞬がマジックなのかもしれない。「これを与えれば泣き止む」という定式的なものではないのだと思う。笑顔にしようと努力することは必要だけど、努力したら必ず笑顔になるというものでもない。
政治や教育はついつい成果を求めてしまう。だから、作品になっていかないのだな。

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★ことば249「盲腸線」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.249 2008.6.14
「盲腸線」

いつの間にやらそういう言葉ができたらしい。これは鉄道用語。いや、鉄道オタク用語で、あとから少し間に追加したような支線のことを言う。説明がしづらいので具体例を出した方が良いかもしれない。東京で言うと、東京メトロ丸の内線の中野坂上~方南町間や、同じく東京メトロの千代田線の綾瀬~北綾瀬間のことを「盲腸」と呼ぶということだ。
住んでいる人にしてみれば失礼なネーミングかもしれないが、確かに支線には独特の雰囲気というか、あるようなないような存在感がある。東京メトロの場合は、どちらも車庫から電車を出す部分を営業路線化したのが路線誕生の由来である。ただ線路を引くだけなら迷惑、地元住民が利用できるようにしてほしい、という要望を受けてのものだ。
しかし、現実問題として利用者はそれほど多くない。元々営業路線にしてなかったくらいだ。だから、盲腸のような雰囲気を持っている。
そんな雰囲気…メジャー路線になれる日は遠い。

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★ことば248「お~い」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.248 2008.6.13
「お~い」

小生の記憶に間違いがなければ、今から十年ほど前、伊藤園の「お~いお茶」のテレビCMはこういう内容であった。
老父が「おーい、お茶!」と呼ぶ。そして、「はーい」と言ったか言わないかは忘れたが、老母がお茶を持ってくる。
それだけのことだ。何気ない、ワンシーン。お茶を飲むというシチュエーションにはこの上なくふさわしい「何気なさ」だ。
しかし、このCMはやがて放送されなくなる。その理由を聞いて驚いたのだが、男尊女卑の家父長制を想起させるものだとして、クレームが入ったというのだ。
そして、CMの出演者は山に向かって「おーい」と叫ぶ若い女性へと変わった。その後、何度かリニューアルしているが、いずれも「お~い」の対象は不明確になっている。
おーい…どこへ行ってしまったのか。皮肉にも、ペットボトルのお茶が「お茶酌み」文化を凌駕した。そこには、男尊女卑という問題と別個に考えるべき、日本人の慎ましやかさがあった。

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★ことば247「松井」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.247 2008.6.12
「松井」

おそらく、クロマティ、バース、オマリーといった名前に我々日本人が親しみを持っているのと同じように、アメリカ大リーグファンは「MATSUI」という苗字に愛着を持っているだろう。
それにしても、なぜ野球選手を応援する時は「松井」「清原」と苗字呼び捨てになるのだろう。
ちなみに、お隣韓国では、相手を苗字だけで呼ぶのは蔑視することにつながるが、それは苗字のバリエーションが少ないことに起因する。そもそも日本人の苗字が約30万種類あるのに対し、韓国には約280種しかない。最も多い苗字の金(キム)さんだけで全国民の2割を占め、李(イ)さん、朴(パク)さん、など上位5種の苗字を合わせると約2500万人となり、それだけで人口の5割を超える。
ゆえに、工場などで誰でもいいから作業員に何人か来てほしい、という時に「金さん!」と呼んだのだという。こうした過去があるため、苗字だけで呼ぶことが蔑視につながるのだ。

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★ことば246「後追い」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.246 2008.6.11
「後追い」

追わなければならない。何を? 追従ではない。追跡でもない。追究だ。
世間を震撼させる事件が起きると、決まって追従者が出てくる。自殺の場合は後追いと言い、他殺の場合は模倣犯と言う。刃を向ける対象が内か外かの違いはあるが、本質的には同じだ。
なぜ、血溜まりや犯人確保の瞬間などのリアルな映像を流す必要があるのか。資料として撮影する必要はあっても、ニュースで流すほどの公共性、公益性があるとは思えない。どこかの三流コメンテーターが「こういう映像を流すことによって生き恥が晒されるのだよと警鐘することになり、犯罪抑止に繋がる」と大妄言をしていたが、むしろ逆だろう。注目されたいから「アキバの交差点」なのだから。次は渋谷か新宿か、と若干おびえながら今日もスクランブルを渡った。
メディアは容疑者の過去を洗い、犯人像と経緯を辿りたがる。本当は、これからを提言しなきゃならないのに、何度も同じ映像を流すしか能がない。

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★ことば245「朝バナナ」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.245 2008.6.10
「朝バナナ」

朝飯に求められるのは、手軽さだ。味より見た目より、早く口に入れられて、少量で栄養価のあるもの。独り暮らしの社会人や朝早い学生の多くはそれを望んでいるだろう。そのため、ご飯やパン以上に、ヨーグルトやバナナが重宝される。
フィリピンやエクアドルの家庭に、そうした光景が広がっているとは思えない。社会も環境も生活スタイルもまるで違う日本と同じようにバナナの皮をむいているというのは不思議な気がする。もちろん彼等も日本の通勤・通学スタイルには腰を抜かすだろうが。
最近ゼリー状の栄養補助食品が増えたが、特にここ数年、バナナ味が増えてきている気がする。しかも、そのどれもが「朝」をうたっているのだ。加工技術は進化しても、味は変わらず定番の果物というのも不思議だ。味は新たに開拓されないのか。しても人気が出ないのか。
ほんの半世紀前、バナナは遠足か運動会の時にしか食べられない貴重品だった。
象はバナナを皮ごと食べる。

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★ことば244「無差別」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.244 2008.6.9
「無差別」

最悪な事件が起きてしまった。奇しくも池田小事件と同じ日に、またも通り魔。
今年は殺しが多い年なのかもしれないが、それにしてもなぜ、ここまで多いのか。一月の戸越銀座から始まり、土浦の無差別殺傷、舞鶴や豊田などの怪死…周辺への影響もわかった上での使用、と考えれば硫化水素も無差別テロだ。
どうも殺人鬼に限ったことではなくて、昨今「赤の他人相手なら何をしても許される」という発想が実に多くの人の心に根付いているように思える。自分の内輪以外は全部どうでもいい存在であって、そこで自分がどう振舞おうと、どう利用しようと、文句を言われる筋合いはない、という考え方なのだ。こんな実感が日々強くなるのは、東京に住んでいるからだろうか。
そういや、電車で隣に座った人から話しかけられることなど、とんとなくなった。
秋葉原は喧騒の街。一町向こうの交差点で人が倒れていても、背後に刃があっても、雑踏の無差別な声に紛れて気付かない。

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★ことば243「エコ」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.243 2008.6.8
「エコ」

ここ数日、左を向いても右を向いても、エコが叫ばれている。期待感を持たせるけれども、言っていることは温暖化と省エネと「一人ひとりの心がけ」だ。全く進歩がない。
そういうイベントやテレビ番組があっても、結論は二十年前と何も変わらない。せめてそのプロセスだけでも何か世の中を変えるものが登場しないかと思うが、行き着くのは「足踏みして発電した」「何円節約した」というレベルの新製品か、今まで通りの主張を繰り返す精神論の延長かのどちらかで、虚しい。
根底には「守る」という思想のみが唯一神話になっているわけだが、ガイア理論のドーキンスは今の人間による自然破壊も含めて地球の活動であり、いずれ淘汰されると喝破している。あくまで一理論だが、否定はできない。一度出来てしまった文明は、それより強大な文明によってしかなくすことができない。
昔には戻れない。ここを起点に考えなければ、エコはただの足踏みで終わってしまう。

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★ことば242「キショい」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.242 2008.6.7
「キショい」

ほんの数年前、「キショい」という言葉が流布した。気色悪い、の略で、要は相手に対する悪口だ。10代女が中心に使用していたが、男も使っていたように思う。いわゆる「ヤンキー語」にも入っていた。
これまた五年ほど前、「キョドる」という言葉も多用されていた。挙動不審のキョドを動詞化もので、おろおろしている様子を茶化した…というか馬鹿にした表現である。
さらには「テンパる」なんて言葉もある。マージャン用語のテンパイが語源だ。切羽詰る、太刀打ちできなくなるという意味に加えて、焦って恥さらしな行動をとっている人間を指して使うこともあった。
こうした言葉たちが、昨年末から今年にかけて、全て「キモい」に統合された。中学生に聞いたら「キショい」の意味を知らない学生までいた。キモいはどちらかと言うと女性語。しかし、テンパるやキョドるなどの男性語もキモいに取って代わっている。
はて、これは一体何を意味するのだろう。

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★ことば241「メール」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.241 2008.6.6
「メール」

長電話文化がしばらく続いていたが、ここに来てついに、その幕が降り始めようとしている。
次代を担い、次の流行を占う層として各界のサンプリング対象となっている十代女性層が、電話よりメールを好む傾向にあるというのだ。一部報道によるものであり、地域差個人差も大きいであろうことから断定的な言い方はできないが、しかし自身の経験からも、いずれメール派が多数を占めるであろうことは予想できる。
その主な原因として考えられるのは、時間制約がない気楽さと「即答でなくどんな返事をするか考えられる」という利点だろう。非対面性も電話とは決定的な差がある。コンプレックスを隠して、ほどよく自分自身を飾れる。万人共通のゴシック体は制服みたいなもので、皆同じ階層という安心感があるのだ。ダサい私服は隠せ、「制服だから」と言い訳できるこの気楽さ。
「気楽さ」を求める背景には何が?億劫さより「せねば」の強迫観念が見えるのはなぜか。

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★ことば240「減反」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.240 2008.6.5
「減反」

やはり失政だったように思う。どうして目先のスケールでしか判断できないのだろう。余ったら余ったで、有効活用できる方法を考えるべきだし、農家に負担を押し付けるべきではなかった。今や米の自給率は100%を切っている。
米だけじゃない。乱獲するだけしておいて今さら手厚い保護をしている絶滅危惧種や、バブルで使い果たしてしまった貧民や…挙げればきりがない。
人はなぜ、見合った丈を求めるのだろう。そして、卑近な距離でしかその丈を計れないのだろう。大きく構えて、備蓄しておけばいいではないか。
今の二十代は質素倹約を好み、食費をこれでもかと削ったり、挙げ句「コストがかかるから」と恋人を敢えて作ろうとしない卑とまで増えているらしい。バブル世代の反面教師だろうが、それはそれで悲しい。皆が皆アリにならなくても。
キリギリスは後悔せずに野垂れ死ねば良かった。アリの脛をかじる卑しいバブル人に諸悪の根元はある。

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★ことば239「言論」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.239 2008.6.4
「言論」

言論の自由とか表現の自由とか、いつも騒がれる。「自由」と言っても野放しに何でもしていい自由ではないはずだが、悪趣味グロゲームや過剰報道など、規制とのワンセットで語られるゆえ、その実態はかえって判然としなくなっている。
自由な言論とはそもそも何だろうか。ある学者は言論の行き交う「場」をテーマに主張を展開し、「各々の真理を他者が審判するという前提条件が保証されていることが必要条件」といったことを述べている。またある作家は「言いたいことを赴くままに吐き出す表出と言うべき事を言う表現とは本質的に異なる」と述べている。言論には言論として成立するだけの条件が同時に要求されるのだ。
ネットが隆盛し、情報格差の解消や個人が表現できるツールの獲得が図られる中、改めて今「表現」の何たるかが問われている。つまり、言論の二極化だ。機会がいくら平等になろうと、結果は質の差で決まる。
表現力だけでなく読解力も問われるのだ。

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★ことば238「保護観察」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.238 2008.6.3
「保護観察」

いったい何のための司法なのか。誰がどう見ても再犯の可能性が高い犯罪者に対して、裁判所は「執行猶予付きの」「保護観察下に置く」と、事実上野放しにしたのである。そして、予想通り男は再び小学校に赴く…
羽村市の変態元教諭。そもそも大学入試から始まって教職単位、採用試験に至るまで様々な関門を通り抜けてこれたことに制度の欠陥があるが、こうして犯罪を犯して教員免許を剥奪された後もまた蛮行が未然に防げなかった。一体なぜか。こうしてすり抜けられてしまうことで、罪の意識を軽減させてしまうのではないか。
誰がどのように観察していたのか。子どもの行動管理ばかりが騒がれる反面、一度犯罪を犯した者から行動・思想・表現の自由を奪うことが躊躇われるのはなぜか。
逮捕の決め手は、保護者ならつけているべきワッペンが男の胸になかったことだ。今後は逆に、性犯罪者は出所後二十四時間ワッペンをつけて街を歩かせるようにしてはどうか。

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★ことば237「逼迫」 [ことばトレンド最前線]

★シリーズ 【ことばトレンド最前線】 vol.237 2008.6.2
「逼迫」

逼迫するのは財政か家計と決まっている。何だか知らないが、値上げラッシュに切り捨てラッシュに、世の中全体が今、逼迫している。
いったい何が押し迫っているのだろう。これから先に何が待ち受けているのだろう。
あまりにも多すぎると、思考まで逼迫してしまう。どうやらそれが狙いのようだ。でも分かっていながら呑み込まれている。気付いたら「バターが…」と話している自分がいる。
そして、早い周期で次から次へと貪っていき、忘れていく。
家に篭っていると、世の中で何が起こっているのかわからなくなる。しかし外に出ても、その実態はつかめない。何かが起こる事を期待しても、結局何も起こらないし、自分から波動を起こすこともできないし。
どんどん目の前が霞んでいく。春霞は穏やかな時間を与えてくれるが、これは陽炎に近い。暑さにやられ、脳のシャッターが次々に下ろされていく音が聞こえる。そして、気付くと布団に入っている…

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