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ほっとけないをほっとけないをほっとけない [主張-時事]

つまり「ほっとけないをほっとけない」を、ほっとけない ということになるわけですが。

ホワイトバンドというものについては読者諸氏もご存知のことと思う。

いつどこから始まったのか、いつの間にやら出てきて、著名人が腕にするようになって、
若者の間を中心に流行し始め(首都大の生協でも売っていたくらいだ)、
民主党代表や新党大地代表など、政治家がアピールのためにするようになって、
そのうち、冒頭「鍵カッコ」内のキャッチコピーが言われるようになった。

つまり、「ほっとけないをほっとけない」とは、ホワイトバンドに対する懐疑の声である。
それに今回小生はさらなる懐疑の念を述べようとしているわけである。

「ほっとけないをほっとけない」とはつまり、ホワイトバンドの活動の不透明性を
指摘しているわけである。
あたかも「私がホワイトバンドを買った300円はアフリカの難民救済のために使われる」
かのような誤解を与えていることを指摘し、さらに活動費の不透明さをしてきしている。
色々な方の文章を拝見した限り、どうやらホワイトバンドの主宰団体は、300円のうち
1円たりともアフリカ難民の救済に使っていないばかりか、一部を自分達の活動金にし、
残りの金は何に使うかまだ決めていないのだという。
で、連中はこれを指摘されて初めて「ホワイトバンドは募金活動ではありません」と
注意書きを加えるようになったり、つい数日前、ようやく資金の使い道を発表したりと
焦っているようだ。もし皆が黙っていたらどうなっていただろうか。

というわけで、「ほっとけないをほっとけない」は至極真っ当な動きなのである。
しかし、小生は今からこれに対する懐疑の念を述べたいと思う。

第一に、何故そうやって揚げ足取りをする必要があるのだろうか。
また、そうする資格はあるのだろうか、ということである。

確かにホワイトバンドが怪しいかもしれない。しかし、そうやって連中の実態を暴いて、
「こんなもの買っちゃいけない」と広報することは果たしてどんな意義があるのだろうか。

このホワイトバンドとはそもそも、ただの募金活動ではない。
本当に募金活動をしようと思ったら、300円は少ない金額だし、
わざわざ自分が募金したことをアピールする必要は無いだろう。
ユニセフの口座か何かにこっそり振り込みしていればいいことだ。
しかし、わざわざ白いリングを買って、腕にはめる。
これは、アピールという意味も含んでいるのだろう。
「私はアフリカの飢餓に関心を持ってますよ」という意思表示だそうだ。
まぁそんなこと以上に、ファッション性、「いい人アピール」の側面が強いとは思うが。
小生に言わせりゃ「くだらねぇ」の一言なのだが、しかしここは一般論として考える。
一般論からして、こうやって若者を中心に多くの人々が、例えファッションであれ、
偽善であれ、今まで何ら関心を持たなかった地球の貧困層の問題や環境問題や
紛争・難民・飢餓などの問題にちょっとでも触れる機会を持ったり、それに関係する
ムーブメントとして腕に白いリングをはめることは、決して悪いことではないように思う。
見た目、腕に刺青を彫っているより、白いリングをはめている方が、その人と接するとき、
心は穏やかになるのではないだろうか。だとしたら、そういうことをしている人が増えることは、
世の中にとってマイナスではないと思う。なのに、何故それを揚げ足取り的に批判する
必要があるだろうか。
勿論このホワイトバンドの主宰者のインチキ性は暴く必要があるだろうし、それについては
間違っていないと思う。しかし、だからといってこの動き全体を非難するのはまた次元が違う
問題だろう。「ほっとけない団体」の製品を購入したことは問題であっても、「ホワイトバンド」
というある種の社会現象をかき消そうとするのは、違うと思う。

そもそも、そうやってホワイトバンドを非難する人々が非難する資格があるのかという話にも
なるのではないか。例えば、自分は年間何十億のお金を中東の学校建設支援のために
払っていて、インド洋地震が起きた日には真っ先にボランティアでかけつけた。なんてことを
日常的な活動として行なっている人が、「そんな偽善ぶったことをアピールしてないで、
本当にちゃんと困ってる人の支援活動を汗水たらしてやれよ」と言ってるのなら、それは
理解できる。しかし、全ての人がそうだろうか。家で寝転がってテレビを見て「あ、これ
ホワイトバンドってインチキなんだぜ」なんてスナック菓子をぼりぼり食しながら言ってる
連中が果たして強く主張する資格を持っているのかといったら、違うように思う。

とは言うものの、やはり彼らの指摘する通り「ほっとけない団体」がインチキをしているので
あれば、これは人の弱みや親切心につけ込んだとんでもない悪事であり、これは
糾弾されるべきだろう。
と言ってしまうと、この議論は「ほっとけないをほっとけない」の全面勝利で
終わってしまうのだが、まだ話は終わらない。

小生はこのホワイトバンドという社会現象が
いい反面教師として使えないだろうかと思っている。
つまり、世の中のちょっといいことをしようと思っている人や貧困に関心を持った人が、
こうやって白いリングを買って、腕にはめてアピールした。これはアピールだ。そうでなければ
そんなリングつけなきゃいいのだから。
しかし、そのアピールに使ったリングの製造元は実はインチキをしていて、自分が募金の
つもりで払った300円は何ら問題解決のために使用されていなかった。
ここで、どうだろう。悔しい!腹立たしい!!と思うだろうか。

厳しいことを言うようだが、その苛立ちは是非ともホワイトリングを買った自分自身に
ぶつけていただきたいと思う。
つまり、いかに自分自身が偽善ぶっていたかということを反省していただきたいのだ。

どこかに、「自分はいいことをした」という気持ちがないだろうか。そういう下心があるうちは、
本当の善意は芽生えないと思っていただきたい。
「あら、インドで大地震が起きたの?三千人が死亡?まぁ悲惨ねぇ。かわいそうに。
300円募金してきましょう」
これで終わっていないか?募金箱にコインを入れたらそれで満足していないか?
自分は十分やったと、それで終わらせて過ごしていないだろうか?

所詮は対岸の火事なのである。金さえ出しときゃいい、と。自分が現地に行って
何かできるわけでもないし、そうしたからといって報酬がもらえるわけじゃないし、
学校、仕事、サークル、自分の日常があるし。所詮は他人事なのである。

日本はカシミールの地震で多くの救援金を出した。パフォーマンスで自衛隊も派遣した。
しかし、一定の義捐金を払ったら、救援物資を送ったら、それで満足して終わらせている。
現地では今、救援物資の取り合いで秩序が崩壊しているそうだ。
弱い子どもが手を出しても、横から強い大人が奪い取る。こういう現状だ。
或いはあの超大国アメリカでさえ、
カトリーナの時には略奪に暴力に、秩序が完全に崩壊したのだ。
どうして、それを何とかしないのだろう。二次災害、三次災害、もはや人災である
この秩序崩壊した現状を何とかしないのだろう。
赤の他人のイラクの治安安定(という名のもとの侵略)には加担するのに、
同じアジアの天災には金を出すだけだ。むしろ、突っ込んでやろうとすると、
「内政干渉だ」となる。
現地の人にとって大事なのは、全ての人に安定した物資供給ができる制度づくりと、
復興後の生活支援ではないのか。中国にばかり作ってる日本の生産工場を印・パに
一つ作ったらどうか。被災者の仕事もできるし…なんて、素人考えだが思ってしまう。

つまり言いたいのは、ホワイトバンドという幻想に300円を出した方々は是非、
自身の行動を省みてほしい。本当に心底貧困国の現状を心配して、行動した結果か。
金さえ出しとけば、形だけ参加しとけば、という無意識の行動の結果ではないだろうか。

小生のよく行くコンビニには、レジの横に盲導犬募金の箱が置いてある。半透明なので
中身が見える。誰が入れるのか、お釣りの細かいの、一円や五円ばかりが入っている。
ある時、この箱には上から紙が貼られた。そして、その紙には
「新潟県中越沖地震の復興支援」と書かれていた。

中身は変わっていなかった。

何故分かったかって、その箱の中には旧五百円札が一枚入っていたからである。
誰が入れたんだか、珍しいなぁと思っていつもレジに来ると気になって見ていた。
その五百円札は、「中越沖地震」の紙が貼られた後も、入ったままだった。

心底盲導犬募金のためを思って募金した人がいたらどうするのか。

所詮募金箱なんてこういうものなのだ。
上手い具合財布の中の一円玉を減らすのと全く同じで、
実に都合の良い善意なのである。
名目は何だっていい。ちょっと「きょうはいい事したな」と思えればいい。
自己満足だ。その自分の入れたお金がどこへ行ってどう使われようと、
世界の裏のどこで誰が泣いていようと、知ったこっちゃない。

結局、「ほっとけなくない」のだ。ホワイトバンドだって、きっと2年後には
忘れられているだろう。ちょうど手垢で汚れてくるのと比例して、思いは薄くなり、
そのうちそんな流行に合わない物を手にはめる人はいなくなるだろう。

こんな我が国の現状を、小生は「ほっとけない」のである。

だから、不謹慎かもしれないし、「そう言うお前は何かちゃんとやってるのか」と
言われるかもしれないが、敢えて本質論を語らせていただいた。


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コメント 9

こんにちは。
ホワイトバンド、持ってますし前に記事にもしました。
ホームページを読んで募金ではないことはわかった上で買った自分としては「騙された」とか「インチキ」とか言ってる人はちゃんとホームページ読んだの?と聞きたい気分です。確かに誤解されやすい所ですし不透明なところもあるみたいですけどね。

>つまり言いたいのは、ホワイトバンドという幻想に300円を出した方々は是非、
>自身の行動を省みてほしい。本当に心底貧困国の現状を心配して、行動した結果か。
>金さえ出しとけば、形だけ参加しとけば、という無意識の行動の結果ではないだろうか。

そういう気持ちがあったことも否定できないですね…。あとファッション的な部分があったのも。
ただ、ホワイトバンドを通して世界のまずしさについて認識した人が増えれば、認識するだけじゃなく実際に行動する人もその分増えるんじゃないかなぁとも思っています。



ホワイトバンドを通して、世界のまずしさについて認識している人が増えれば、その中から
by (2005-11-10 13:49) 

あ、最後が変な感じになってますね。すいません・・・
by (2005-11-10 13:51) 

俺

コメントありがとうございます。
確かにおっしゃるとおり、これがきっかけになるのであれば良いことなのだと思います。ただつけて終わり、ただ募金して終わり、ではなくて、些細なことかもしれないけど、それがきっかけで、輪っか一つがきっかけで世界の諸問題に目を向け、実際動き出すことができるのであれば、すごく意味のあることだと思います。それがホワイトバンドの果たす役割だとしたら、それを叩く必要は無いと思いますし、叩かれないためにも事務局はもっときちんとアピールすればいいのになぁと思うのです。
by (2005-11-13 09:22) 

ryu-toku

「ほっとけないをほっとけない」と書き始めたのは、僕あたりかもしれませんね。
初めまして。渡辺隆徳と申します。

「俺」様の(何か、変ですけど…苦笑。)、「考え方」理にかなっていると思いますよ、僕も。ただ、サニーサイドアップの「やり方」があれじゃあまずいでしょう、会計報告して、25万ドル、聞けば一瞬「おおー」、だけど円換算すれば「2950万円」でしょう?報告書の3枚目に見たくなくとも「東京タワー費用、1300万円」、と出ていれば、「何考えているの、この会社、と思うのが「世の常識」、ではないかと僕などはかように思う訳です。いろいろな考えがあって良いかもしれませんが、「儲け」られては、マンデラ元大統領もさすがに怒るでしょう。
by ryu-toku (2005-11-14 03:55) 

俺

コメントありがとうございます。
「もったいないをもったいない」発祥の方からご意見をいただけ、光栄です。確かに、善意を装ってわけの分からないことをやっている会社であれば、叩かなければなりませんね。ホワイトバンドというムーブメントそのものはもしそれが何かのきっかけになるのであればいいんじゃないかなぁと思うので、本当は敢えてこれを買わずとも、自分で作るなり何かオリジナルの意思表示、活動をすれば良いのかもしれませんね。
by (2005-11-16 23:55) 

ryu-toku

「俺」様へ
了解しました。ただし、僕が「発祥」かどうか、は分かりませんよ。(苦笑)
結構、語呂合わせが良いので(爆笑)、僕の回りではみんな、言っていましたからねえ。
ブログ、頑張って下さい。全面的に支援致します。
by ryu-toku (2005-11-21 23:58) 

俺

確かに、語呂合わせが良いですね。
当方も、そちら様を時々覗かせていただきます。
by (2005-11-22 23:35) 

skilly

はじめまして。どこからか流れ着きました。
俺さんの意見、その通りだと思いますね。
結局このキャンペーンの最終趣旨はなんだったんでしょうか。
?の多い問題ですね。
よかったら時々ここ覗かせてください。
by skilly (2006-01-19 23:47) 

俺

はじめまして。ようこそ漂着してくださいました。
そういやホワイトバンド、してる人あんまり見なくなりましたね。

今後とも、お待ちしております。最近ようやく開店休業状態を抜け出せそうです。
by (2006-01-20 00:57) 

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