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暴力重宝 [主張-時事]

これまた先日テレビを見ていて感じたのだが、
あの「元不良で今は更正して若者を教育している」という連中、
見ていて大変に見苦しい。

義家先生はまだいい。必死になって自分の使命を模索しつつ、悩み苦しみ生きている。
また、その生き方が若者にメッセージを与えている。

しかし、先日テレビに出てたやつは、ただの醜い勘違い野郎だった。
(有名にしてあげる気もないので名前は覚えなかったし紹介もしないでおく。)

要するに、やつらは「俺は昔散々悪いことをした」というある種「オトコの勲章」的な
武勇伝=過去の栄光を散々自慢したいらしく、それでいて「お前らは真似するなよ」
など偉そうに若者に説教たれる。そのくせ、若者がちょっと言うことを聞かないと
かつてのツッパリを彷彿とさせるドスの効いたブチ切れで黙らせるのだ。
格好も未だに堅気の人とは明らかに異質な服装に髪型で、何か人より自分は
数多くの経験をしていてその分人間も大きいんだという勘違いに浸っているのである。

しかし、世間はこれを評価する。なぜなら、そこには「ギャップマジック」が存在するからだ。
ギャップマジックとはまさに小生が日々生きていて痛感するのだが、
わかりやすい例を出すと、「普段クールで怖い男が、ある日ちょっとした優しさを見せて、
そのギャップに女の子はイチコロ」というやつだ。
同じ仕事をするのでも、見かけが真面目でおとなしくメガネでもかけている人は、
ちゃんとできて当たり前、という評価をされる。しかし、髪の毛が金髪で耳にピアスが
空いていて、チャラチャラしてるやつがたまにきっちり仕事をすると、「実はちゃんとできる
人なんだね」と、ものすごく評価をされる。
逆に、同じ程度の失敗をしても、チャラ男は「毎度のことか」とあまり気にされないが、
真面目君が失敗すると「君らしくない」とか「最近だれているんじゃないか」と酷評される。
こういうことだ。
皆同じ努力をしているのに、いつも努力して100点を取る生徒は100点を取り続けるのが
当たり前で、その都度褒め称えられることもないが、
普段50点くらいの生徒がある日100点を取ると、絶大に評価される。
それまではサボっていて50点程度だったことも忘れられて。

だから、世間は気づいていないのかもしれないが、真っ当な教師はごまんといる。
その中で、とりわけヤンキー先生だの元総長の今俳優だのをちやほやしすぎている
というわけだ。その方が面白いからなのだろう。ふざけた話だ。

また、同時に小生はこの元ヤン先生を見ていて、もう一つ気づいたことがある。
自分が散々ワルな経験をしておきながら若い衆に「お前らは真っ当な道を進めよ」
と誇り高く言っている様、これに似たようなことが世の中で起きていないだろうか、と。

例えば、地球温暖化とCO2削減。30年前に散々排ガスを出しまくって公害を起こしまくった
先進国が、自分らの責任を棚に上げて「21世紀は環境保全の時代。後進国も
我々を見習って、我々と同じ基準でCO2排出量を抑えるべき」と言っている様。

或いは、自分らが大量に核兵器を持っているのを棚に上げて、
「悲劇を繰り返さないため、これ以上核を持つ国が増えるのは良くない」と、
印パや中東の国々に圧力をかけている、超大国の様。

これには、違和感を感じずにはいられない。
前提として、確かに不良の道に走ったりCO2を排出しまくったり核を持つのはいけないこと。
だから、これ以上そういう道に手を染める人間・国が出てきてはいけない。
それは言うまでもない。
しかし、元不良さんよ。先進国さんよ。あんたらにそれを言う資格はあるのかい??

自分がかつて失敗したことを棚に上げて、よくも偉そうなことが言えたもんだ。
過ちを犯した者は、絶対にその分の償いをしなければならない。
そして、そう簡単に償いきれるものではない。不良はたくさんの人や物を傷つけたのだろうから、
それに対しての償いは一生涯続くはずだ。
自分が日の目を見ることなど忘れ、ひたすら謝り続け、償い続けるべきだ。
同時に、先進国は責任を取って、発展途上国がCO2を出しまくって工業化を進めなくても
国が繁栄できるくらい、援助をしなければならない。
同時に、これ以上の環境破壊に歯止めをかけるため、知恵を振り絞り案を出し、
自分らの利益抜きに話し合わなければならない。それが償いというものだ。

核問題もそういうことだと思う。現実的に「まずはじゃあ今核を持っている国が全部
核を放棄しろ」というのは難しいだろうし、それをやって裏切りが出ないかと言えば
難しいところだ。
しかし、これ以上核を持つ国が増えるのも見過ごしてはならない。
「自分は持ってるくせに、これ以上持つなと言う」、当然そう言う資格はないのだけれども、
この矛盾を成立させるためにはどうすれば良いか。
それは、既に核を持ってしまったという汚点ある国々が、責任を取って償いをするという方法
以外に解決策はない。
まぁこんなことを言って聞き耳を立てる国じゃないことは分かっている。
しかし、そんな理屈をこれでもかと相手に叫び続け求め続けるのが、唯一の被爆国であり
「戦争放棄」を憲法で定めた我が国としての義務ではないかと思う。
言いたいことはきちんと主張すべき。日本は、弱腰すぎる。

もっとも、日本も核武装だの軍隊を持つだのという風潮が近年は勢力を強めているが。
要するに、皆さん殴る蹴るが大好きなんでしょうね。
だから、ヤンキー先生が重宝されるし、戦争モノ映画が増えるし、アメリカが支持されるし、
K-1見て血を流してるのを見てキャーキャー喜ぶ連中がいるわけだし、
暴力ゲームを規制しようものなら一斉に言葉の核ミサイルが打ち込まれるわけですな。

昔、小学生の作文で
「『戦争反対』というみんなのメッセージを集めれば、世界最強のミサイルができる」
と書いたものを読んだことがある。
ペンは剣よりも強しということだ。確かに的確に述べている名文なのだが、
しかし一面的な見方しかできない人はこう考えることはできないだろう。
「確かにそうだ。しかし、『戦争賛成』というメッセージを集めたら??」
逆もできるということだ。そして、今この国は明らかにそちらの方向を向いている。


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コメント 6

femto

とりあえず、「しるし」をつけて、あとから読みなおし、コメント入れてます。
(ごめんなさい)
某塾の先生がいかにも「やーさん」みたいで・・・。「おれのような馬鹿をするな」と言っていたとき・・・。なんだかむかついたのが、ここを読んですとんと納得してしまいました。
頑張って先生になったのかも知れないけど・・・「謝罪」はしてなさそうですよね・・・( -。-) =3
by femto (2005-08-10 21:14) 

とと

わかるなぁ~.
あたしもイヤですね,『昔ワルだったけど,今はこんなになりました・・・』方式で売ってくる人は.
と言いながらも,俺さん指摘の『ギャップマジック』にはまってしまう自分もいます.(特に恋愛系では・・・情けない・・・・(-_-;)

真面目に生きることのすごさを,もっと自覚したいし,真面目に生きている人はそれを誇りにすべきです.『昔不良で,今先生』と,『昔から真面目で今先生』は同じ先生という土俵にいるのだから,その土俵の中で比べられるべきです.昔どうだったかなんて関係なく,子どものことを思い,面白くてわかる授業をし,人として尊敬できるか,ということで比較されるべきですよね.

>要するに、皆さん殴る蹴るが大好きなんでしょうね
↑闘う本能ですね.国会が解散し,選挙戦に臨む元衆議院議員の表情をみると,なんかわくわくしてるようにも見えました.
この闘争本能についてと,少し前の記事にあった男性の下半身マーケットにある本能についてに,今,本能に興味深深の私です.(*^.^*)
by とと (2005-08-10 22:52) 

えいこう

こちらもnice! な記事ですな。
ヤンキー先生から環境問題、核問題へと持論を展開していく文章力、さすがです。
私も同じような事を感じてはいましたが、ここまで文字、文章で訴える事は、なかなか出来ません。
by えいこう (2005-08-10 23:54) 

俺

やっと、ととさんの4連続記事へTBすることができました。
多分、こういう世の中だからこそ「正直者ほど馬鹿を見る」という風潮は強まっているのだと思います。
しかし、真面目な人が損するというのはあくまで目先の金銭的・地位名誉レベルでの評価でしかないんじゃないかと思います。人間の価値はそんな表面的・一元的なものではないと信じていれば、例え一時的な他人からの評価が低くても、きっと納得いく人生を送れるはずだし、貫けば所詮薄っぺらな人間はついてこれないんじゃないかと、信じています。
by (2005-08-10 23:58) 

俺

順序逆になってしまいましたが…
>mako さん、コメントありがとうございます。
やはり、そういう人いますよね。確かに更正したのは偉いと思うしそこまでの過程は辛かったのかもしれないですが、しかし、それを武勇伝っぽくしたりどこか達観した気でいるのは、やはり違和感を感じてしまいます。人間、謙虚でいなければ。
人の見てないところで努力してる、って、かっこいいと思うんですがねぇ。どうしても人は評価という欲望に負けて、影の努力を自分の口でしゃべりたくなってしまうようです。
by (2005-08-11 00:01) 

俺

いえいえ、eikohさんこそ、丁寧に書かれていらっしゃって、(前も言いましたがこういう表現をすると生意気に聞こえてしまうのが不本意ですが、心底思っているので)見習わなければならない点は山ほどです。

それにしても、ブログをはじめて4ヶ月、はじめは「世の中の出来事を見聞きして自分が感じたり考えたことを表現したい、いや、吐き出したい」という「王様の耳は……」的なストレスから毎日書き続けてきましたが、書く以上に他の方々とのやり取りによって刺激を得る部分が多いことは、とても自分にとってプラスになっているように思います。
ついついパソコンに向かう時間が長くなってしまう…
by (2005-08-11 00:07) 

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