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弔い [主張-ひと]

永岡議員の妻が次の衆院選に出馬するという。
「○○の妻」「○○の息子」という理由だけで選挙に出るというのは良く見かけられるし、とりわけ死人の後釜というのは、何年か前の小渕優子議員の際もそうだが、家柄だとか地盤だとかいった安定票に加えて、同情票も少なからず取り入れているようで、当選するための戦略としては巧みなものと言えよう。
しかしながら、これは見ていて気分がいいものではない。

亡くなった人のことは悪く言えない風潮があるし、その点を活かして彼らも堂々出馬を宣言しているのだろうが、敢えてタブーを超克して言わせていただこう。これは見苦しい。
永岡氏その人のパーソナルな部分では、自ら命を絶つことになってしまったのは残念であるし、生真面目な性格ゆえに悩みが多かったという報道からも、お悔やみの気持ちが自ずと生じる。
しかし、一政治家として、公人としての彼の行動は最悪であった。遺書も残さず、後に残った多くの人に困惑の思いと辛い思いをさせてしまっている。これは、そもそも自殺ということ自体が人としてやってはいけない犯罪だと思うが、それ以上に、政治家が、それもこのタイミングで命を絶ってドロップアウトするというのは、卑怯以外の何者でもない。
だからこそ、妻は選挙に出馬してはならない。永岡という議員は自殺をした時点で既に政治家としての自らの使命を放棄しているのだから、「やり残したこと」もクソもない。それを誰かが代わりにやってあげる必要などない。
世の中には、自分の意志でなく殺されている人もいる。小生のかつて住んでいた土地では、石井紘基という政治家がいた。この人は国際問題に長けた素晴らしい政治家で、党の中でも将来有望と目されていた。しかし、一度金を貸した仲である(…だったと記憶している。)右翼との腐れ縁で、ある日刺殺されてしまう。政治家という性質上、地元の様々な人から声をかけられるし、あれをしてくれ、これをしてくれ、と相談を日々受けるのも仕事の一つだ。石井氏はその人柄ゆえ、そういう時として理不尽だったり我がまま自分本位だったりする市民の声も全部受け入れてきた。むしろそうして地盤をきっちり固めていくことが政治家として使命を果たす上では欠かせない活動であったろうし、それを石井氏は真っ当にこなしただけだ。しかし、思い違いから、相手に自分の知らないところで恨みを買われ、殺されてしまった。なんとも理不尽だ。
さて、ここで石井氏の身内は、選挙に出馬したか。いや、同じ党の中から「遺志を引き継ぐ」形で候補者が出ているものの、それまで政治活動をしていない婦人や娘息子が選挙に出るというような醜態を、この家族は見せなかった。潔く、党の活動の支援と、石井氏刺殺事件の真相解明に努めたのだ。

死んではならない。これに尽きると思う。例え自分に非のない交通事故や殺人であれ、できる限り避けなければならない。死んでしまってはすべておしまいだ。使命を全うしなければならないし、取り残された身内や支持者や友人知人、自分と関係のある全ての人に悲しみを与え迷惑させてしまうことになる。
とにかく、生きて思いを伝えなければならない。きょう一日を大切に生き、先を見据えつつも「きょう死んでもいい」くらいの気持ちで、全力で生きなければならない。

そんなことを、昨日江原氏の「天国からの手紙」を見て思った。

でも、そんなことを口で言いつつ、家で堕落している自分は何なのか。昼に起きてテレビを見て…こんなことを書いてる暇があったら、自分のやるべきことを見つけなければと思うも、この2年間であらゆる使命を失った今の自分には何をすべきかが見つからない。


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えいこう

こんばんは。
私も江原氏の番組、観ました。いわゆる霊能者と称する人達の多くに胡散臭さを感じる中、江原氏にだけは信憑性を感じます。やはり依頼者の心のケアに、厳しくも暖かい思いやりが感じられ、それがまた説得力があるせいでしょうか。

長岡議員に限らず、同様の訃報に触れる度に、真面目で真摯に生きている人ほど、思い詰めて死を選ぶ。そのように思えてなりません。そういう点では、心中察してあまりある思いです。
しかし自殺は端的に言って、究極の現実逃避、困難回避に思え、してはならない事と考えます。残される家族の事を考えると、自分勝手とも思えますし。
いつもながらの卓越した独自の慧眼に、感銘を深くしています。
by えいこう (2005-08-10 22:32) 

俺

こんばんは。
実は母が「オーラの泉」のファンで、その影響で割りと最近江原氏の番組は見始めたのですが、信憑性を感じると同時に、心の温かさを感じますよね。世の中にいなくてはならない、大切な人だと思います。
それに比べて昨日の「天国の手紙」の裏番組ときたら……
実は「天国…」は録画しておき、「ズバリ言うわよ!」をリアルタイムで見てたのですが、あの婆さんは占い以前に言葉遣いの汚さと笑いに対するセンスは最悪ですね。何か話したかと思えば金の話か「タッキー素敵」のどっちかだし…「あんた、地獄に落ちるわよ!!」と思ったとして言う必要があるのか、不快感は増すばかりです。

さて、自殺ですが、おっしゃる通り、究極の現実逃避なんですよね。真面目な人ほど悩んで悩んで死んでしまうようで、とても胸が痛むのですが、それでも生き抜いてこそホンモノですよね。
なんて、20歳の自分が言えるほど簡単なことじゃないのは分かっていますが。
by (2005-08-10 23:54) 

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