SSブログ

景観法に関する具体的な事例 【シリーズ・景観法②】 [主張-学問]

景観法レポートの2日目です。

2. 具体例
2-1 銀座

 5月21日付 毎日新聞夕刊は、一面で「銀座の街並み、大型再開発」を報じている。その内容は、「2002年の規制緩和に伴い、高層ビル建設が可能となった。しかし、『銀座らしさ』すなわち地元景観を保護しようとの声もあり、計画を慎重に進めている」というものだ。
 今回の大型再開発は、松坂屋銀座店を中心とした銀座6丁目の一角を対象としたものである。松坂屋銀座店は1952年から64年にかけて建設されために老朽化が激しく、耐震性の問題からも、数年前から立て替えを検討されてきた。その立て替え並びに再開発を進めるという事業に、隣接する貸しビル業者や金融機関が合意し、約9000平方メートルにもおよぶ銀座の再開発計画が始動したのである。
 記事内では景観法までには言及していないが、「商店関係者の意見も尊重」という所から、景観法の意義に沿った方向で計画が進められていることがわかる。また、森ビルの「これだけ街全体の調和を大切にした再開発は、恐らく国内で初めて」という言葉からも、この計画には大いに期待が持てそうだ。
 ただ、どういった景観が最も好ましいかということについては一概に決められるものではない。古い建物は風情があって、というのは一般的な考えだが、その「古い」の基準もその土地、人により江戸時代であったり昭和初期であったりとさまざまだ。また、維持費の面、採算性の面、震災など防災の面からも、何でもかんでも残せるわけではないということも考慮しなければならない。
 銀座が属するのは中央区だが、同じ中央区に佃島という土地がある。ここには今、江戸の建物と平成の高層マンションが混在し、独特の景観を生んでいる。
 これは、ウォーターフロントの再開発により生じたものだ。江戸時代は東京湾岸の最前線だった佃島には、水産物を使用した佃煮が有名な地場産業として現存している。同時に、隣接する石川島には江戸幕末に造船所が作られたのだが、時代の流れとともに1981年閉鎖され、再開発によりそこには高層マンションが建設され、今のような景観となったのである。
 それはおそらく異質な景観ではあるのだが、それが珍しいということで訪れる観光客がいるのであれば、それはそれで佃島の個性であり維持すべき景観だと言えるのかもしれない。

2-2 皇居周辺
 東京都千代田区の皇居周辺は、旧江戸城を中心として日本の近代化をリードしてきた地区と言われる。現在でも皇居を広大な水辺や緑地空間が囲い、美しい景観を形成している。また、丸の内のオフィス街、霞ヶ関の官庁街など、周辺には様々な建物郡が形成されている。
 皇居周辺は、都内では唯一、国土交通省の定める「美観地区」に指定されている。これは、日本を代表する美観として1933年に第一号として指定されたもので、実質的運用は現在殆んどないものの、戦前は建物の高さ規定や外壁の材料、煙突の位置等の指定が行われたり、現在では他の条例・法律と連動し皇居周辺の美観保持に貢献している。現在は、対象区域を幾つかの地区に分け、それぞれの地区にマッチした景観形成の方針を固め、保持と整備に向けた運動を進めている。

           次回へ


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問・資格(旧テーマ)

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。