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堀之内 【シリーズ・東京紀行】 [紀行]

堀之内は堀之内でも、今回は八王子市の堀之内を取り上げてみたい。


八王子市堀之内と言えば、「駅前の看板に『ニートの町・堀之内』」と落書きされていることで有名だが……有名じゃないか。
そんな自虐的な落書きがあるんだとかないんだとか、真相は見たことがないので知らないが、とにかく若い世代が多く居住している若者の町であることは確かだ。

何故若者が多いかというと、やはり最大の理由は付近に大学・専門学校が多いということが挙げられるだろう。

これは有名な話だが、東京の多摩地区には日本で一番大学が集積していると言われている。これについてはまた独立したトピックを立てられるくらいネタ満載なのでここでは詳しく述べないが、とにかく大学が多い。
とりわけ八王子市堀之内は、隣の南大沢に都立大学、北へ徒歩15分行くと中央大学があり、その他明星大学、東京薬科大学、多摩センターの方へ行って恵泉女子大・大妻女子大などがある、まさに大学が密集した地域である。

その中でも特に京王堀之内駅の北側は、中央大と都立大の学生が多く下宿している。その理由としては、やはり家賃が安く古くから学生向けのワンルームのアパートが多く存在することが挙げられる。
南大沢周辺や堀之内の南側は、完全に都市政策としてニュータウンが計画的に立地しているが、堀之内の北側は古くからの農地があり、また幹線道路沿いに商店や住宅が立地していたことから、都市政策として用地を完全に買い上げてしまうことはなく、そこに立地する業種の限定も行わなかったのだ。(完全な計画ニュータウンを歩いてもらえば分かると思うが、そういった所には個人の商店が殆んどなく、パチンコ屋などは絶対に存在し得ない。)
そのため、学生向けのアパートが多く立地することとなったと考えられる。また、中央大学の下宿生の影響はかなり大きいと思われる。

それに加えて、幹線道路沿いにサービス業の店舗が発達しているので、飲食・生活買い物等をするのに、中大や都立大のすぐ近くの土地に比べ大変に便利であり生活がしやすい。ドンキホーテもある。これが学生に受ける最大の理由であろう。

幹線道路というのは東西に走る多摩ニュータウン通りと野猿街道だが、沿線にはラーメン屋が数多く点在し、とりわけ堀之内周辺には何店舗かが立地し、激戦区となっている。
これはおそらく、下宿の学生の需要に加えて、かつて京王堀之内駅前によみうりテレビの収録スタジオがあったこともその一要因となっているのかもしれない。今ではマンションとなってしまったが…

ただし注意したいのは、堀之内の北側に密集する住宅地、治安は決して良くない。スリ・痴漢等の被害が周辺地域に比べて格段に多いことは有名である。
やはり整然とマンションが立地し「隠れる場所」の少ないニュータウン街に比べると、泥棒もやりやすいのだろう。
ボロアパートの数々やファミレスの並ぶバイパスから一歩入った裏側など、「陰」の空気を醸し出しているのは確かだ。また、学生の一人暮らしということもあり、防犯意識はニュータウンの居住者に比べると低いのであろう。

さて、冒頭触れた「ニートの町」の話、失礼な話だが的を得ている気もしなくもない。
というのは、ここ堀之内という場所は言ってみれば多摩の大学の裏庭のような所であり、新宿や渋谷など都心に出るためには京王線に乗って片道370円・約40分と、殆んど小旅行並みの移動を経なければならない。距離は約30km。
また、家から歩いて大学に通い、近くの店でバイトして、サークルに顔を出して、家に帰って…という毎日では、下手をすると一週間のうち殆んどの生活を半径2~3kmの狭いエリアで済ませてしまうことが出来る。こうなると、気分的にも都心への足は一層重くなるのだ。

まさに、「家から出るのが億劫」な状態に近い状態となってしまう。都心の大学に通っていれば途中の景色を見たり隣駅の古本街を歩いたり公園に行ったり…と、街から刺激を得ることが出来る。しかし、残念ながら堀之内にあるのは家と木くらいのものだ。
大学に入りたての頃、大学周辺を自転車でまわって散策したが、あまりの景色のつまらなさに落胆したものだ。ニュータウンの人工的な作りは、刺激を一切得ることが出来ない。同時に、多摩の森(を削った住宅地)は、どこに行っても同じなので、飽きる。これでは都心を歩く生活に比べて大幅に経験するものが少ない。

多摩ニュータウンは、ベッドタウンとしての性格を強く持つ。いや、そのように作られた街なのだ。故に、ここに大学を数多く移転させて多摩に学生を動かそうという計画は、こうした問題を持っているのだ。あくまで「ベッドタウン」だ。家に引きこもるのもベッドタウンの半径2~3kmを活動エリアにするのも、大差はない。
ニートの町・堀之内は、ベッドタウンからの脱却を図ることが出来ない以上、都心に働きに出る人は兎も角、青春時代を過ごす若者には不向きな街なのかもしれない。


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