鈍い [雑記]
最近、道行く者が鈍い。
身を守るということをまるで知らない。
これは物理的な自己防衛もそうだし、表現における仮面と芝居の自己防衛においてもそうだ。
とにかく、鈍い。
これは一度大震災でも起きた方が良いのではないかとさえ思えてしまう。
姉歯云々、ヒューザー云々以前に、国民が鈍い。
だから、国が対策を渋っていることも、内部抗争でさえあるかもしれないことも、見抜けない。
一時の扇動に踊らされて一喜一憂しているだけだ。
鈍いというのはこれは人間は言うまでもないのだが、最近その他生物も鈍い。
特に自転車で颯爽と掛け抜こうとする時に、ハト連中は大変いい迷惑だ。
もう轢かれるかどうか寸前のところまで接近しても、まるで動かない。
ボーっと何も落ちてない地面をつついている。
昔は自動ドアのごとく接近すると慌てて逃げてくれた。だからこちらもスピードを
落とすことなく走れた。
しかし、最近はこちらが遠慮して轢かないように速度を落とす具合だ。
急いでいる時はこれはいい迷惑である。
そして、猫も鈍い。
後ろから接近して脅かしてやろうかと半分冗談に接近したら、いつまで経っても走ることなく
ちんたらこちらにケツを向けて歩いている。
これはもしかするとこちらの行動を見抜かれて「どうせ襲ってきやしないだろう。こちらが
慌て逃げるのを楽しむんだろう。ヤな人間だ」とでも思われたか、と一瞬思った。
しかし次の瞬間、猫は後ろを振り返り、まるでエイリアンを見たかのように驚愕し、猛ダッシュ
して去っていった。きっと本当に気づいていなかったのだろう。
多分あれはこちらがその気になればひき殺していただろう。
もちろんその気にはならないが。
だからといって関西人のあのせかしようも多分体質には合わないのだろうが、
しかし最近はとても不快な日々だ。とにかく、鈍い。
これは単におっとりしているとか冷静に穏やかに対処しているとかではなく、ただ単に
空気が読めないだけなのである。
困ったものだ。福知山線事故が起きても何も学習しなかった、2005年の日本人。
この頃の日本人の、無防備な歩き方、歩行者に限らず
自転車でも車でもそうですが危機管理感覚の欠如には
ほとほと参っています。私がぼんやりと感じていたことを
理論的に書いておられるのでいつものように脱帽です。
そういえば、人間だけでなく日本に住む生き物もその傾向がありますね。
何がどう影響しているのでしょう。原因はもちろん一つではないでしょうけれど。
マサイの戦士が映画の宣伝で来日していた時、
彼らの明るくも鋭い目つきを見て感嘆しました。
生き物として失ってはならないものを、全て持っている。
もちろん元からの民族性の違いもありますが、
古来の日本人はもう少し鋭い目をして身を守っていたはず。
嫌な言い方ですが、何か起こらないと変われないのかも知れないですね・・・。
by はなぽん (2005-12-18 10:03)
コメントありがとうございます。
そうですね。マサイの戦士の目の鋭さは今の日本人、ひいては先進各国に生きる人間に欠けているものかもしれません。
それにしても、朝の電車も遅いし、プリンターの反応も遅いし、どうも時代のスピードに合わせられない自分がいます。動く歩道に黙って乗っている感覚…歩きたいのに。走りたいのに。
by 俺 (2005-12-25 19:06)
そうですね。
ですが、悲しい哉、私もニホンジン。
自分が鈍いかどうかを決めるのは「自分」ではなく
「他者」なのかもしれませんね。
by nurumayubiyori (2005-12-29 15:09)
鈍い鈍いと言いつつも、自分もゆっくり歩きたいときもあったりして、実に身勝手な生き物です…
そんな身勝手な人間に飼いならされたドバトや三毛猫に鈍さを言うこと自体間違っているのかもしれないなぁと思ってしまいました。
by 俺 (2006-01-04 01:04)