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ヤンキー社会学 [主張-ひと]

ヤクザの社会学というのをやっている方の話は聞いたことがあるが、「ヤンキーの社会学」
というのがあっても面白いと思う。



高校時代、こんな話を聞いたことがある。

「下町のヤンキーと山の手のヤンキーとでは、バイクの盗み方が違う」
というものだ。

言わずもがな、東京都内で最も治安が悪いのは、下町のウォーターフロントである。具体的に言うと、江戸川・江東・葛飾あたりになるのだろう。あくまで差別的な一般論だが(つまり小生はそうだと思っていないということだが)、下町地区は低所得者が多く居住している。低所得者は真っ当な職についていなかったり子どもが低学歴だったりして、それ故「ろくな人間が住んでいない」。だから犯罪が多い、というものだ。小生はこの論には同意しかねるが、実際犯罪率や「大卒の割合」のようなデータを持ち出すと、当てはまるのは確かだ。

そしてその他の地区だが、「大人の街」ということで大人の犯罪が多い街としてはやはり新宿・歌舞伎町や渋谷、池袋、六本木などが挙げられるのだろうが、「ヤンキー」に的を絞ると、一気にその割合は減る。ヤンキーにおける二大拠点は下町ともう一つ、八王子だ。
そして、これは一般にはあまり知られていないが、目黒、世田谷といった山の手地区もヤンキー率は高い。

さて本題に入るが、そのバイクの盗り方。
山の手のヤンキーは、バイクに乗っている人を殴る蹴るして引き摺り下ろし、
バイクを持ち去るそうだ。
これに対して下町のヤンキーは、バイクに乗って走っている人を見つけたら、
周囲を一緒に走りながら集団で囲っていく。そして徐々にスピードを下げて、
止めさせる。そして、降りてもらい、持って行くというのだ。
何故なら、「バイクに傷をつけたくない」からだという。

やっていることは勿論とんでもないことなのだが、なるほどと感心してしまった。
下町のヤンキーの方が手馴れている。
そして無駄にエネルギーを使わない方法を知っているのだ。

ここからは小生の勝手な推測と身の回りの人間を見ていて感じたことだが、
目黒や世田谷の事情を説明したい。
まずヤンキーが多い理由だが、一見すると高所得者層が多くよくできた
お坊ちゃまお嬢様しかいなさそうな土地だが、実はそういった高所得者の
親である故に、子どもへの期待、教育、情熱が過剰で、かえって子どもが
そのプレッシャーに耐えかねてグレてしまったり、いい子を演じながら外で
ストレスを発散しているというパターンが非常に多い。
そのため、ストレスを抱えた悪ガキ達が、閑静な住宅街にバイクの轟音を
響かせているのだ。彼らは兎に角乱暴であり、壊すことが好きだ。
ただその一方、所詮は高所得者層の子ども達である。冒険を恐れる。
ウブなので大それた悪事はできず、ビビりながら中途半端にワルをやっている、
大変に情けない連中である。そして所詮は反抗ゆえの、ストレスゆえの
ヤンキーだから、あまりヤンキー事情に詳しくない。だから、「田舎っぺな」
(いや、「都会っぺ」か…)、ローカルなルールに則って行動してしまう。
以上が「バイクの盗り方」一つにも表れていると言えよう。

一方下町のヤンキー達だが、小生の知る限り、一見ただのヤンキーなのだが、
情に満ちている。義理と人情を知った連中である。下町の人間の血を引いているからか。
これはつまり山の手のヤンキーが粗暴であるのに対し、こちらはきちんと
(まぁバイクを盗んでる時点できちんともクソもないが)一般人に怪我を負わせる
ことなく、活動している。
ただし、ビビりとか怯えといったものは山の手と違って無いので、やる時はやる。
それは聞こえとしては格好良くもあり、同時に恐怖も感じる。つまり、一線を超えて
しまうことも時としてあるということだ。

どっちがいいとも悪いとも言うつもりはない。ただ、一概に「ヤンキーなんて所詮人間のクズ」
とか、「悪いことをするやつは皆同じ」という視点でしか見れない大人が多いゆえの現状だ。
一面的な見方を変えない限り、解決はできない。

あくまで小生の私見に基づくものだが、東京のヤンキーは減らせると思う。
それは単に取り締まりを強化するだけではなく、根本から彼らと向き合い、
意識を変えていく努力をしなければならない。

山の手の方が、悪事を見つけて捕まえるのは簡単だと思う。しかし、「反抗」の
精神は根深いものだ。心の奥底から本当に変えるには膨大な時間と労力を要する
ように思う。高所得者層の親達の教育の仕方にも問題がある。
下町の方は、やっている内容も規模も大きく、警察も悪戦苦闘していると思う。
しかし、彼らの性根は腐っていないはずだ。だから、興味関心の分野を変えればよい。
情熱を注ぐ分野を、バイクではなく例えば祭りとか、公共活動とか、注ぐエネルギーの
方向さえ変えればおそらく普通の人間以上に能力を発揮するはずだ。
そのためにはやはり教育が必要だし、大人の「お前らは人間のクズだ」といった眼は、
彼らの行き場を失わせ、むしろ暴走行為を助長させる結果となる。

どちらにしろ、教育の大切さは切に感じる。小生も含め、社会を変えたいという意志を
持つ以上避けて通れない課題だと思う。


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コメント 1

captainkj

人間をひとくくりにせず、その人の人格と向き合おうとする姿勢は共感を覚えます。ヤンキーに対してだけではなく、日常生活でも当てはまる部分はたくさんありそうですね。
by captainkj (2005-06-13 14:16) 

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