■『鼓笛隊の襲来』/三崎亜記 [書評]
流行りの新書や啓発本には興味がない。よって、平積みには目が行かず、興味のあるジャンルの棚を目で追うか、
■『11時間 お腹の赤ちゃんは「人」ではないのですか』 江花優子 [書評]
■『ファスト風土化する日本』 三浦展 [書評]
書評
『ファスト風土化する日本』
三浦展
2005年 洋泉社新書
地理学でメンタルマップというのがあるのだが、
郊外に暮らす子ども達に日常のメンタルマップを書かせたら、
きっと自宅と学校とジャスコとが宇宙空間を漂う惑星のごとく、ポツポツ書かれるのだろう。
色々と刺激を受ける本であった。
これがシモキタ再開発にも諸々の事件にも全て結びつく現象なのだ。
やはり、歩道に誰も歩く人がいない町は、おかしい。
おかしいと分かっていてもどうにもならない現状。
現状のレポートと分析は見事であったが、処方箋や提言にはいささか難有り、のこの本。
でも、それでいいと思う。
ここから先は、読者一人ひとりが考えていかなければならない問題だからだ。
民主党が政権とって岡田首相になったら、全国津々浦々にあるジャスコは
政府直轄の「町内会組織」になるのだろうか。なんて妄想をしてみたり。絶対ムリだな。
■『となり町戦争』 三崎亜記 [書評]
■『地下鉄に乗って』 浅田次郎 [書評]
書評
『地下鉄(メトロ)に乗って』
浅田次郎
いい加減いじめ自殺を語るのも嫌になってきたので、ここのコメント欄への書き殴りを以って終了したいと思います。
気分を変えて。
■『ぼくのマンガ人生』 手塚治虫 [書評]
書評
『ぼくのマンガ人生』
手塚治虫
最近新書ばかり読んでいる。これは手塚治虫の自伝に近いものだが、
色んな所での講演録をまとめたようなものだ。
実はあまり頭に入ってこなかったので殆んど流し読みしたのだが、
印象的だったのは、やはり最後に出てくる短編マンガのエピソードだ。
ガキ大将的な存在が、自分の才能に目を付けてくれ、いじめるどころか
友達になってくれて自分を鍛えてくれる。
少年「治」の成長過程でのキーパーソンだ。
そして、悲しきかな、その友人は戦死する、という末尾のコメントに、
黙して語らんとする手塚治虫の哲学が垣間見える。
実はあの川端康成と笹川良一の関係もこのようなものであったそうだ。
(どっちが「ガキ大将」だったかは言うまでもない)
たかが13,4年生きたくらいで人生に見切りを付けて飛び降りる馬鹿共と、
我が子を死なせた責任も感じずに醜態をさらす大馬鹿親共には
是非読んでいただきたい本である。
…と、汚い言葉でまとめてしまったところに、小生のこの本に対する所感が
現れているわけで、そこを読み取れる方は読み取っていただけたら幸いです。
■『東京の美学-混沌と秩序-』 芦原義信 [書評]
■『未来をひらく歴史 東アジア3国の近現代史』 [書評]
書評
未来をひらく歴史―日本・中国・韓国=共同編集 東アジア3国の近現代史
日中韓3国共通歴史教材委員会 編
未来をひらく歴史―日本・中国・韓国=共同編集 東アジア3国の近現代史
- 作者: 日中韓3国共通歴史教材委員会
- 出版社/メーカー: 高文研
- 発売日: 2005/06
- メディア: 単行本
朝鮮戦争をめぐって議論をすべく、幾つか文献をあさった。その一つがこの本。
■『奥の細道』 [書評]
■『フィルム』 小山薫堂 [書評]
■『元・阪神』 矢崎良一 [書評]
■『死神の精度』 伊坂幸太郎 [書評]
書評
『死神の精度』
伊坂幸太郎
小生にしては珍しいジャンルだ。
それもそのはず、この本は会社の先輩からお借りしたものでして…実は伊坂幸太郎という作家に触れるのはこれが初めてであった。
死神の仕事を場面描写したもので、6つ(だったっけかな)のストーリーが収録されている。
ターゲットとの1週間のやりとりやストーリー展開は非常に面白い。
「ミュージックを愛する」とか、どこか死神に人間臭さに近い愛着を持ててしまう反面、
常に場面は雨だ。薄い水色と灰色が混ざったような描写が続いていく。
やや気になったのは、文章表現が「死神が自分を語る」口調でありながら、視点は
死神という立場と人間という立場を両方知った第三者の目に置かれているので、
そこに違和感がある。また、説明がくどい。そこまで几帳面に書かなくても、と思った。
読者に丁寧に説明しすぎていて、逆に彼の描く世界に入りにくいところがあった。
あと、これはあまり若い作家に期待してはいけないのかもしれないが、作品の奥に
暗示されている作家の意図、メッセージ、哲学性がもう少しほしいように思った。
恥ずかしながら伊坂幸太郎という作家を知らなかったのだが、他のものも
読んでみようと思う。ととさんの「半身浴読書」でも幾つか取り上げられているので、
まずはそのあたりを攻めてみるか…
■『子どもが危ない!』 江原啓之 [書評]
書評
『子どもが危ない!』
江原啓之
最近結構読んでいるので、備忘録+αということで書いていきますわ。
これは、本当に「その通りだ!」ということばかりが終始書かれていて、
スピリチュアルの世界の勉強になる話も勿論たくさんあるのだが、
中には「そんなこと当たり前じゃん」「なんてこんなスピリチュアルでもなんでもない、
わかりきったことを天下の江原さんが言わなきゃならんのよ」と、
ここまで世間は落ちたかという失望感をも感じさせるセンテンスが多々含まれていた。
これは言うまでもなく江原氏が悪いのではなく江原氏にこんな事を言わせてしまう
世間が悪いのである。
本当に、今の世の中大人も子どもも鈍い・通じない・おかしい人間が多い。
事例1:部屋の中に入りたい人が、まだ前の時間に部屋を使っていた人がたくさんいたから
「ちょっと待っててね」と言われて外で待つことになった。
しかし、それからその後何の指示もなかったと言って、自分で判断することも
周囲の状況を見て合わせることもせずに、ただひたすら2時間その場に待っていて、結果
部屋の中に入れなかったといって、自己の権利を主張し、部屋の中に入ると言って
払った契約金を返せとわめきたてる。
待ってたというのはガキで、その親がガキから聞いた話に激高し、部屋の管理人に
クレームの電話をしたわけである。
おいおい、そりゃねぇだろ。
事例2:テレビ局の報道フロアで夕方のニュースの打ち合わせをしている。
メモを片手に、皆机を取り囲んで立っている。
デスクや部長局長が意見を交わし、記者が語り、編集チームやデジタルチーム、
技術チームもそれぞれ机を囲んで真剣に聞き入る中、18歳のAD君が一人、
堂々と中央のイスに座ってふんぞり返っている…
おいおい、そりゃねぇだろ。
もう辟易する話ばかりだが、これは根本的に改善していく教育者が後ずさりしてしまうと、
この国は本当に(今でも既にそうだが)世界から馬鹿にされてしまうわけであって…
そんなこの国のお掃除マンとして、江原氏の活動は重要なのかもしれないね。
この本、霊とか前世とかオーラとかに興味がない人にもオススメである。
というか、そういう系を期待しない人間にこそ価値のある本だと思う。
ここに書いていることは宗教観でも空想でもなく、一つの根源的な人間の事実である。
あと、個人的にはやはり「因果(カルマ)の法則」というのは本当にそう思う。
これはもう少し分かりやすいたとえをするならば、水槽の表面で起こした波だ。
波は必ず跳ね返ってくる。波動を起こすものは、それが返ってくるということを理解し、
その跳ね返りへの責任を必ず負わなければならない。
笑顔で発信した波は、相手からも笑顔の反響として返ってくる。
暴力で発信した波は、暴力で返ってくる。
これは心に深く刻まなければならないと思った。
おおきな木やにじいろのさかなのような絵本を多元読解していった部分も、
大変興味深かった。
やっぱりねぇ、教育者がしっかりせずにこの国は再建できないですよ。
■『陰日向に咲く』 劇団ひとり [書評]
書評
「陰日向に咲く」
劇団ひとり
世間が言うほどではなかったが、でも確かに面白かった。
これで泣けるというのはさすがにオーバーだと思うが、
言葉遊びの域としてはなかなか高いところまで到達している。
これは映像化したら面白くなると思う。
一つ難を言うなら、川島君はよく取材してると思うが、
自分の取材したことを無理やり書きすぎている。
「これだけ知ってますよ」ということを全部披露したいがために、
知識を盛り込みすぎているのだ。
例えて言うなら、ラジかるの秀ちゃん。
彼は最近結構勉強していると思う。隣に座ってボッサーとしている
カシュー君よりはよっぽどMCの資格はあると思うが、
しかしまた彼も、自分の勉強したり新聞を読んだりして得た知識を
披露したくて仕方ないようで、必死に喋っている。
まだまだ、インテリゲンちゃんに思われたい節があるのだろう。
もう少し余裕が出てくれば、サラっと大事な情報だけを
付け加えるようなコメントが出来るようになるのではないか。
中山秀征が小倉智昭になるにはまだまだ時間がかかりそうだ。
…ということを、川島君の作品を読みながら連想してしまった。
作家が取材をするのは当たり前のことだ。
この作品がプロ顔負けの質を持っているからこそ、敢えて言いたいと思う。
■『都立大学に何が起きたのか』/茂木俊彦 [書評]
★都立大学に何が起きたのか
~総長の2年間~
茂木俊彦 岩波ブックレット
2005/09・第一刷発行
年末にこの本の存在を知り、神保町でゲット。で、その日のうちに読了。
こんな本が出ていたとは、知らなかった。
これは全都立大生必読の書だと思う。
■『気楽に殺ろうよ』/藤子・F・不二雄 [書評]
★気楽に殺ろうよ
~藤子・F・不二雄 [異色短編集] 2~
藤子・F・不二雄 小学館
1995/08・文庫版の初版第一刷発行
(初出はビッグコミック1972年5月10日号など)
本書が問いかけるテーマは3つ。いや、もっとあるが、大きなテーマはこの3つ。
・絶対、永久に不変なものは存在するか
・論理的整合性、科学的根拠が判断基準の全てか
・信じれば人も殺せる。それでいいのか
だと思う。
■『そうかもしれない』/耕治人 [書評]
というわけで、映画の原作であるこの本を読んでみた。
★そうかもしれない
耕治人 講談社
1988/04・第一刷発行
この本はまさに映画の話の通り、老夫婦のいよいよ晩年を迎えての体や心の変化を
綴った話で、日常をそのまま切り取っている。
映画では客観的に老夫婦の日常を描いていたが、本は男性(ご主人)が日記のように
思いを綴るという形式で進められている。まさに私小説である。
本では「そうかもしれない」「どんなご縁で」「赤い美しいお顔」の3作が掲載されているが、
映画はまずはまだ元気な頃の老夫婦の日常があって、次に変化が起きて「どんなご縁で」
に載っているような話があって、最後に「そうかもしれない」がある、という流れになっている。
個人的には、これを映像化したことは大変素晴らしいことだと思った。
本で読むだけではおそらく小生のような人間はただただおじいさんの身の上話を聞いている
感じで、イメージがし辛いのだが、映画ではとても入り込んで考えることが出来た。
「身寄りのない老夫婦2人の老後生活の大変さ」というのは、
いくら口で福祉やらサービスやらを叫ぼうとも、こうした作品を見ないと本当の辛さというのは
身をもって理解することはできないんじゃないかと思う。
勿論なんでもない日常の風景、会話の楽しさもあるのだが、込められたメッセージは
強く訴えかけてきた。
夫婦の様々な会話を見ながら、奥さんから発せられる言葉に重みを感じた。
子孫がいなくて身寄りのない老夫婦二人の生活、高齢化、老後、介護、そして
痴呆によって段々と変わり果ててゆく妻…
あまりにも実感の湧かないテーマだったのでイメージすることのできなかった問題を
身に染みて感じるとともに、自分の祖父母に対してのイメージ、電車の中で向かいに
座るおばあさんの背後というものについて、見方ががらっと変わってしまった。
■『失礼ながら、その売り方ではモノは売れません』/林文子 [書評]
最近学術書ばかり読んでいたので、実にサクサク読めた。
通勤・通学の移動時間で、あっという間に読了。
★失礼ながら、その売り方ではモノは売れません
林文子(ダイエーCEO) 亜紀書房
2005/07・第一版発行
毎度取り上げている、我が母校の先輩として、経済界のトップランナーとして、
今最も誇れる達人の書き下ろし本。