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アジアンタムブルー @東京国際映画祭・六本木 [映画]

アジアンタムブルー adiantum blue
監督:藤田明二
Cast 阿部 寛/松下奈緒/小島 聖/佐々木蔵之介/高島礼子

さて、ここまで書いてきた今年の東京国際映画祭、最後に観た作品はこれ。
率直な感想を申し上げるが、これから劇場に足を運ぼうと思ってる方は
以下、読まない方がいいかも…

正直、見終わった直後は「あぁ、まあまあいい映画だなぁ」と思ったが、
日が経つにつれだんだん「あれはひどかった」と、後からがっかりがこみ上げてきた。

一言で言ってしまうと、「あぁ、また恋人が病気で死ぬ話ね」って感じ。
セカチューから始まってどうも最近の恋愛モノの邦画はこういうのばっかりで、
いい加減ネタが尽きないのかと思うが、んでまた観る側もよく飽きずに
毎回毎回泣けるものだ。

最愛の恋人の死ということ。生きるとか死ぬとか、そうした哲学的な
問題を追及する方法に持っていけばいくらでも面白くなると思うのに、
あいも変わらず好きだ嫌いだ笑い涙の何も残らない結末。

阿部ちゃんが余命幾ばくもない恋人とともにいつか連れて行こうとした
「ニース」に逃避しようとして、会社を辞めるときの小日向文世とのやり取り。
ここが一番思索的になり得るシーンなのに、迷いとか決意とかをうまく
描ききれていない。というか、全体的にこの描き方、何もかもはしょりすぎ。
3度目にコンビニで偶然顔を合わせた次のカットではもういきなり
女が下の名で男を呼んでるし、何の兆候もなく突然倒れるし、
成田を発つシーンもあっさり進めちゃうし。テンポ早すぎ。

で、一番解せないのは、映画のタイトルにまでなっているアジアンタムブルーを
全然エンディングに活かせてないこと。
「アジアンタム」と、「アジアンタムブルー」という特徴と、例外的な奇跡と。
せっかく買うときに説明してるのに、その後一切登場なし。
これだけ重要なアイテムを全然使わないで、最後に
「屋上庭園にこっそり置いていく」だけで使い切っちゃって、ほんと宝の持ち腐れ。

あと、客層という意味でもジャンルという意味でもターゲットを絞りきれていない。
一見すると純愛なのに、主人公の職業がエロ雑誌の編集長って……
しかも、エロ雑誌の仕事現場描きすぎ。しかもそこで笑いを取ろうってのが気に食わない。
15禁になるほど過激ではないけど、決して親子で観に行ける内容ではない。
あと、恋人同士もちょっと微妙かもね…

松下奈緒という女優もそこまでひどくはないが、普通レベル。
で、なぜか彼女が現役の音大生ということで主題歌のピアノ伴奏をしてるらしいが、
「だから何?」と言いたくなる。そう言われないと分からないし。
彼女が音大生なのを活かしたいならカメラマンじゃなくて音楽家の設定にすればいいじゃん。
演技の中で一度もピアノ引くシーンなかったんですけど…

この映画を通じて何を描き伝えたかったのか、製作スタッフの意図が不明。

ニースのナイスな景色を大画面で堪能したい方は是非、
劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか。


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mik_0001

>一言で言ってしまうと、「あぁ、また恋人が病気で死ぬ話ね」って感じ。
ああ、この感想、よーく分かります。
セカチューもこの映画も、観ていないので語る資格が無いと言われればそれまでですが、この映画は小説を読みました(セカチューは読んでもいない)。綺麗な表紙に惹かれたのですが、買ったのを後悔したほどつまらない小説でした。そう、まさに読み進めれば読み進めるほど、
>だんだん「あれはひどかった」と、後からがっかりがこみ上げてきた。
に近くて、「こりゃヒドイ」と読むのを止めようかと思うくらい。
こういう恋人が死ぬ設定は、武者小路実篤の「愛と死」や「友情」あたりで中学生の頃すごく泣かされたので、どうも煎じ尽くされた出涸らしのお茶を飲むような気がしちゃうんです。
それが、背景設定でげんなりというか・・・。なんというか、ネットでキーワードによるヒットを狙っているみたいなモノを感じ、ああそうですか、っていう感触でした。通常なら小説ですと、映像に限定されない分、もっと読み取るものがあるように思われますが、それほど深い感じはありませんでした。著者の人生経験が浅いのか筆力のせいなのか・・・。
だから、映画でそういう印象を俺さんが得たのは、もしかしたら原作に忠実に真面目に作ったということなのかも?と思いました。
by mik_0001 (2006-11-02 01:22) 

俺

こんばんは。コメントありがとうございます。そういえば、武者小路実篤、読んだ記憶がはるか彼方に…確かに、出がらしのお茶というのはごもっともですね。もはや出演者が違うだけで同じネタをやってるとか、同じようなネタを出演者だけ変えてやってるとか、その次元にとどまってますよね。ホンモノになかなか出会えなくなってきました…
by (2006-11-03 23:26) 

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