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現代日本画名作展@八王子夢美術館 [美術]

市制90周年記念 現代日本画名作展@八王子夢美術館

…に、行ってきた。きっかけは京王線の電車内で見かけた広告。
こんな事を書いたら殺されるかもしれないが、恥ずかしながらワタクシ、今まで
東山魁夷の作品を観た事がなかった。で、この広告に載っていた絵に
一目惚れし、足を運ぶことになったわけで…。


八王子の駅からバスで3分。八日町一丁目というバス停は八王子を出発する
ほとんどのバスが通る停留所で、どのバスに乗ってもすぐ行ける。
ただし、八王子のバスターミナルはたくさんありすぎて、逆に迷う。

で、この夢美術館、市民センター的なビルの2階にある、
比較的小さな美術館。というか、美術館とこれを称して良いのかは疑問だ。
というのは、設備が最悪であるためだ。
はっきり言って、少々暗めの会議室に絵を並べて仕切っただけのつくりで、
照明は絵に反射して見にくいし、防音はまるでなってないから
出口付近で敬老会的集団がワイワイ騒いでいるのが丸聞こえで
うるさくて集中できないし、ただのギャラリーである。
それでいて入館料は大人なんと900円。
展示してある絵の数から言っても、これはボッタクリ以外の何者でもない。
学生は半額で450円。まぁそれで妥当だろう。
これでも高い気もするが、八王子市の芸術分野の今後の取り組みに
期待を込めて、出資する感覚だ。

まぁそれはいいとして、肝腎の中身だが、まず最初に目に飛び込んできたのは、
山口華楊の「青柿」。これは文字通り青い葉が淡いアイボリーの背景に映える、
典型的な日本画!と素人たる小生には感じられる作品である。
そして、黒猫がなんとも不思議な表情だ。

そして、その次に東山魁夷の作品を幾つか観る。
パンフにも使われていた緑のハイデルベルグ。
早朝の静寂なイメージだ。

他にも波が打ち寄せる海岸と松の絵や、「白夜」と題された湖畔や
ロープウェーから見るような山の端や、
東山魁夷の作品は青がとても印象的であった。
静寂の中に、大地の、木々の、水の胎動を聞け、と。
静かな美しさには、悲壮なる魁夷の心を感じる。
苦しみと悲しみの中で、それでも自然の美しさと力強さを
全身全霊で受け止め、筆をとったのではないか。
そういう、文字通り悲壮(悲しさとそれを振り切る勇ましさ)が
なければ、これだけの静寂で力強い絵は描けないのではないか。

…なんてことを思った。

正直、その他の人の作品は全く記憶に残っていない。
生ぬるさというか、裕福な家庭で楽しんで体得した技巧というか…
だから観に来る人たちも言っちゃ悪いがお友達同士の楽しみだか何だか、
絵もろくに見ないで出口でおしゃべりしてるわけでしょ。世間話を。
それだったらここでしないで喫茶店でやってくれよという。
着物着てきたら入館割引とか言ってる時点でこのギャラリーの
知性品格もお里が知れるというか……

なんて言ったら失礼だし、そんなことはないと思うのだが、
でも魁夷以上にパワーを持つ作品には、この場では出会えなかった。







※おことわり
今回より美術館・展覧会等の鑑賞記事については「美術」のカテゴリーを設け、
そこに属させることにしました。
広く囲えば映画も演劇も読書も旅行も音楽も絵も写真も皆芸術だと思うのですが、
で、芸術と美術の違いって何だよと思っていたりして、
んでもって展覧会に行くときは大抵その周辺を旅行して写真を取っているので、
これまで殆んど「紀行」カテゴリーに入れてたりして、
この分類は正直言うと明確な分類が難しいのですが、
あ、全然「句点(。)」がない……
ま、そういうことで、今後ともよろしくお願いいたします。
皆様の行かれた映画や展覧会でオススメのものがあればぜひ教えてください!


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m_kikuchi

私も初めてここで拝見しましたが、これまでに見たことがないタッチの絵ですね。
by m_kikuchi (2006-10-22 19:14) 

俺

そうですよね。他の日本画家と何か違う。静かさの中に込めた生のパワーを感じました。
by (2006-10-31 00:10) 

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