■『奥の細道』 [書評]
書評
『おくのほそ道』
松尾芭蕉
全訳注:久富哲雄
南東北をまわりながら、電車の中や宿でこの文庫を持ち歩き、黙々と読んでいた。
今まで松尾芭蕉について全く詳しくなかったが、今回の旅とこの本がきっかけで
かなり興味を持てたし、とても勉強になった。
今では普通の人よりも多少詳しくなっているくらいだ。
実際に芭蕉の旅路を想像しながら山寺を登ったり松島を散策するのはとても
気分がいいものだ。
…芭蕉については語り始めたらきりがないので、後日書くことにしよう。
とりあえずこの本の紹介だが、シンプルな構成ではあるものの、
きちんと全文と訳文がのっているほか、学生が勉強しやすいように注釈が
丁寧に載っていて、もちろん句の詳しい解説もある。そして、曽良の記録との
比較や、当時の背景などの解説があって、とても情報量が多い。
文庫なので持ち歩きが便利で読みやすいが、しかしギッシリと詰まっている。
著者の見聞の広さが窺える。
どのページをめくっても、「よくここまで調べているなぁ」と思えるのだ。
芭蕉が引用した西行らの言葉や、「ここはこういう背景がある」ということ、
そして「現在その場所はこうなっている」ということまで、地理歴史的情報が
満載であって、とても興味深い。
数ヶ月前の小生のように芭蕉について知識も興味もないという人たちには
是非この本を手にとってほしいと思う。
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