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浜渦副知事問題、敢えて異なる見解を主張したい [主張-時事]

やっと書きたいことがまとまったので、きょうから3日くらい連続してこの問題をとりあげてみたい。

東京都では今、浜渦武生副知事の去就について、ひいては石原慎太郎知事の責任について、大問題となっている。おそらく他県の方はご存じないと思うし、都民の方も東京MXニュースを毎日見ているという優秀な方でなければ事の顛末はご存じないかもしれない。

※もう知ってるよ、という方は、下記記事は退屈だと思われますので、
↓を読んでいただけたら幸いです。
浜渦副知事問題 【上】
浜渦副知事問題 【中】
浜渦副知事問題 【下】

では、本題に入りたいと思う。

まず初日のきょうは、この問題の発端から現在に至るまで、至極単純に、わかりやすく紹介したいと思う。
あくまでこの問題の成り行きを知っていただくために、「わかりやすく」をベースに書きたいと思うので、「○○学園」といった具体的な名前や、専門的な話は一切割愛して進めたいと思う。

(以下、敬称略で書き進めていきます。)

まず話の前提として、東京都の知事が2期目となる石原慎太郎が務めているのはご存知のことと思うが、知事には参謀として副知事が数名存在することを述べておきたい。福永正通、大塚俊郎、竹花豊、そして浜渦武生の4名だ。さらに出納長の桜井巌、教育長の横山洋吉の2人を加えて計6名が特別職として知事をサポートする体制になっている。その中で、今回問題となっているのが浜渦武生だ。
浜渦は石原知事の30年来の参謀で、側近中の側近と言われている。
浜渦と石原の出会いは、石原が国会議員になって間もない頃にさかのぼる。当時大学生だった浜渦が石原の演説に惚れ込み、師事したのがきっかけである。浜渦は大学卒業後石原の公設秘書に就任。以後、30年にわたって石原をサポートしてきた。
そういった経緯から、石原は知事に当選した1999年5月、すぐに浜渦を副知事への就任させようとしたが、都議会の大勢が反発したためひとまずは特別秘書に就任。翌年7月、反対派の自民・公明両党を説得して、副知事に就くことになる。

さて、今回の一連の騒動、事の発端は先月の議会にて、浜渦が民主党にヤラセ質問をさせたということだ。しかし、あくまでこれは「露呈のきっかけ」にすぎない。浜渦の「恐怖独裁政治」と称されるものは、今回急に始まったものではなく、副知事就任当初からなされてきたものである。
その「ヤラセ質問」、経緯は下記の通りだ。
東京都が資金を出し開設した専門学校が、財政上の理由で翌年私立の学校法人に経営を委託することになった。しかし、その学校法人は当初東京都が進めていた種別の専門学校とは全く異種の学校をそこに開校させ、校舎の殆んどをその用途に使っている。とすれば、東京都の目的と異なる学校を運営しているのに、経営を委託し税金を払ってサポートしているのはおかしいのではないか、という問題が浮上した。
これを、予てより自己の見解としては「おかしいなぁ」と感じていた浜渦が、都議会の質疑応答の際議会側に質問してもらい、自己の見解を述べたいと思った。そこで、民主党の議員に再三に渡って質問するよう依頼し、結果民主党のある議員が浜渦の要求どおり質問し、浜渦は「違法ではない形で予算は使われなければならない」と、今の予算の使い方があたかも違法であるかのようなニュアンスを含めた発言をしたのである。
これに即座に反発した自民党都議が「今の答弁はおかしい!」と叫び、議会は一時中断。そもそも浜渦の発言は、自分達が予算案を作って議会に提出・承認を得る立場にいながら自分で出したものが違法だと言っているような発言であり、矛盾しているのである。
その後、民主党が自発的に質問したのではなく質問されるようお願いされていた、すなわち質問が「ヤラセ」である疑惑が浮上。自治体に関する疑惑や不正事件が発生した場合に設置する調査委員会、通称「100条委員会」が発足した。

100条委員会は当初、7月に行われる都議会議員選挙を前にした自民党のパフォーマンスだとも言われた。何故なら、100条委発足当初は浜渦はじめ知事側の責任というより、民主党がヤラセ質問をしたということを糾弾することに注目されたからである。つまり、公共の場で自民党が民主党を批判し、評判を下げるパフォーマンスだと言われたのである。そのため民主党は当初質問した議員の証人としての出席を拒否した。
そして100条委に出席した浜渦は「ヤラセ」を否定した。しかし、100条委は賛成多数で浜渦の発言を虚偽と認定。つまり、「浜渦はヤラセをしたのにしていないと委員会の場で嘘を言ったので、違法な行為を行った。よって、刑事告発しよう」、という動きになっていった。
こうなると、さすがに自民党のパフォーマンスという次元ではなくなってくる。マスコミ各社もこの騒動に注目するようになり、遂に議会と知事側の対立が鮮明になった。
ここで、浜渦降ろしは加速する。浜渦以外の副知事全員と教育長が辞表を提出(ただし、警察庁から出向中で8月には戻る竹花は除く)。周囲が辞表を出すことで、混乱を収拾するとともに浜渦の辞表にこぎつけたい考えだった。しかし、浜渦は辞表を出さず。そのため、議会側は遂に石原に「浜渦を刑事告発する」と詰め寄り、石原は了承。浜渦を事実上更迭する結果となった。
浜渦更迭という人事案を受けて、自公は刑事告発を見送り、今後の知事側の動向に注目している。また、民主党は一連の騒動で完全にその存在感を潜めるとともに、ヤラセ質問を了承した議員を擁護する側、都民の批判など世論を見方にそれを非難する側の二極に内部分裂し、1ヵ月後に迫る都議選に向け不安材料を残す結果となった。
そして石原は4日(金)の定例会見で「『泣いて馬謖(ばしよく)を斬る』より苦渋の決断だった」と語り、「彼の名誉のために…」を連発、最後まで浜渦を擁護する姿勢を見せた…。



というわけで明日からは一連の騒動の核心に迫っていきたい。


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自由の戦士by如月次郎

はじめまして、TBありがとうございます。
浜渦問題にこのような経緯があったとは知りませんでした。こちらに書かれている内容を読み進むと如何にも客観的に、率直に書かれていて感じ入りました。

年齢や性別を問わず、いい事書く人がいるんだなあ・・・と感動致しました。私も趣味とはいえブログやコラム掲載サイトに色々書きますが、ここまで突っ込んだ事は滅多に書けません。

これからも、率直で客観的な記事を書き続けてください。もし、お時間に余裕がある時には私のコラム掲載サイトにもお越しください。サイト名はブロぐとまったく同じです。
http://jirou11874.hp.infoseek.co.jp/
それではまた来ます、お元気でご活躍ください。
by 自由の戦士by如月次郎 (2005-06-05 00:50) 

fanson2004

はじめまして。
すばらしいコメント↑の後に私のコメントで恐縮です。

TBありがとうございました。
ネックは、「都議会議員選挙」かもしれない、となんとなく。

都知事は小説家でもあり、
充分、(都知事の)発言の効果を知っていて、
さらに自分自身でそれを推敲できる立場なのですから、
「あえて未練たらたら」
な演出をしてみせたのでは・・・とか
ふやーっと思ってしまいました。

あえて「失言」ととられかねない単語を使って耳目を
集めるパフォーマンスもされておいでですし。>都知事

片手で握手し、もう片方の手で殴りあうような取引が
行われているのでは・・・・などと思っておりました。

その取引材料がなんなのかは・・・・・想像の範囲内ではありますけれど。
でも・・・そんな都知事、キライじゃないです♪
(「したたかなおじさま」ってちょっと憧れちゃう)

ではまた。乱文お許しくださいませ。
by fanson2004 (2005-06-05 02:29) 

町村

そうですか、都議会選挙も目前になってのこの騒動。
自民党が民主党をガタガタにすることに成功した結果となったわけですか。

印象的でした。
by 町村 (2005-06-05 09:05) 

自由の戦士by如月次郎

先ほどは私のブログにコメントを頂きましてありがとうございます。

「素晴らしいコメント・・・」と、言われると何だか気恥ずかしいです。私は趣味の域を出ないコラムニストですが、それなりに情報は仕入れています。でもネット上の記事とテレビくらいのものだし、鹿児島と言う土地柄から中央の多様な情報はテレビ、ネットでしか入りません。高価な書籍も買えないし・・・と言うことです。

ただ、情報分析と言うやつは十人十色と言っても過言ではないでしょう。ですから同じ情報を仕入れても違う結論が出る、そういう事もあって当然だと思います。

石原氏みたいに、俺が言うことはすべて正しい・・・と思い込んでいる人が確信を持って話す場合には、大衆は乗りやすい、騙されやすいと思います。でも最近の石原さんは何だか「怪しい」ような口調で話します。そう思いません??

それが、議会選挙とかに関わっているなら当然としか思えませんよね。政治家という生き物は下らない駆け引きを平気でするものです。その口先だけの銘台詞に騙されないように気をつけないと東京都・国家もとんでもない道に引きずりこまれてしまうでしょう。

まあこのところ、まともに見える政治家は見当たりませんから、小泉氏にしても石原氏にしても、それほど狂信的に見えないのではないかな・・・などと思っています。

トヨタも何だか訳の分からない事をやりだしたようだし、経済面もおかしな方向に進むような気がしています。当たらなければ良いのですが・・・こんな直感は・・・。

ではまたお邪魔します。
by 自由の戦士by如月次郎 (2005-06-05 14:30) 

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